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□来客
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イギリスの外れに構える優美な屋敷。
“ファントムファイヴ家”
高貴な静けさが漂うこの屋敷に、
本日、ひとつのチャイムが響いた。
コン コン
軽やかなノック音に屋敷の当主、
シエル・ファントムハイヴは答えた。
「入れ」
ガチャリと扉が開き、入ってきたのは黒ずくめの執事。
シエルは手元の書類から視線をそらさず言った。
「なんだ」
「ランドル卿、そして、
フレッド・アバーライン様がお見えになりました」
執事は小さく微笑んだ。
この来客2人は、ロンドン警察庁の警視総監と警部である。
シエルはその名を聞くと、顔を上げ、にやりと笑った。
「通せ」