書斎

□メイドと夜
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さて、どうしたものか。

ユフィと一つ屋根の下でヴィンセントは考えた。

夕食は普通に二人で食べた。
楽しく(ユフィが一方的に)話ながら食べた。
しかし、会話の中でユフィは「風呂に入る時は言ってね」と言った。何故かと勿論聞いた。すると・・・

「背中流してあげるから」

などと返ってきた。
ヴィンセントは一瞬凍りついた。

「・・・今・・・なんと・・・?」
「だから、背中流してあげるって言ってんの。リーブのおっちゃんがしてあげてって言ったから」

リーブめ・・・。
ヴィンセントは内心拳を握り締めた。
ユフィは19歳とはいえ、年頃の女性なのだ。それをいつ襲うか判らない男の所に放り投げてしかも背中を流させるなど・・・。

・・・・・・

いや、背中を流すと言ってもタオル一枚でさせる訳ではない。
そうだ、そうではないか。
自分は何を考えていたのだろう。
ある種の意味で開き直ったヴィンセントはなるべくいい方向に考えた。

そうだ、メイド服で洗い流してくれるに違いない。

・・・でも、タオル一枚で・・・

「違う!!」
「わっ!?何!!?」

思わず声を出してしまったヴィンセントは「な、何でもない」と何とか取り繕った。

「アタシ、何か調味料間違えた?」
「・・・そんなことはない。美味いぞ」
「本当・・・?」

ユフィが少し不安そうな顔をした。
ヴィンセントはその顔を何とか晴らそうと話題を続行した。

「・・・これはお前が作ったのだな?」
「そうだよ」
「・・・これもウータイの料理なのか?」
「うん。嫌いだった?」
「・・・そんなことはない。私はウータイ料理は好きだ」
「ホント!?さっすがヴィンセント!!」

一気に明るくなったユフィ。この場は何とかなった。

そして、冒頭の台詞に繋がる。
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