書斎

□観察
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「ねぇ、ヴィンセント・・・」
「・・・何だ?」
「その・・・」

ユフィは視線を泳がせながら落ち着きがないように腕を後ろで組んだり、つま先で床をトントンと小さく蹴ったりした。
何か言いたいよう見える。

「・・・どうした、言ってみろ?」

ヴィンセントがその黒の瞳を捕らえると、ユフィは少し戸惑った。

「あの・・・でも、ヴィンセントは嫌がるかも・・・」
「・・・言ってくれなくては判らん」

しばらくそうして見つめていると、ユフィは決心したのか。
目を瞑って頬を少し赤く染めて言い放った。

「う、上着脱いで・・・!?」








そして現在に繋がる。

「・・・」
「・・・」

現在、ヴィンセントは上半身裸になってベッドヘッドに背を預けている。
補足すると、バンダナも外している。
対するユフィは同じく上半身裸になってヴィンセントを観察(?)している。
しかし、ちゃんと胸はシーツで隠している。

何故、ユフィも上半身裸になっているのかと言うと、ヴィンセント一人が上半身裸になって見られたくない身体を見られているのだから、自分も同じ状況になるべきだとユフィが言い出したからだ。
ユフィがヴィンセントの身体を観察する理由は、何となくだった。
むしろ、あまりじっくり見たことがないので、ここいらでじっくりと観察でもしてみようと思ったのだ。

「・・・」
「・・・ねぇ」
「・・・何だ?」
「前髪、掻き揚げて?」

今度は何かと思ったら前髪を掻き揚げることを要求された。
まぁ、減るものではないのでヴィンセントは少しゆっくり前髪を掻き揚げた。

「〜〜〜〜!」

ユフィは耳まで赤くなって俯いた。


うう・・・カッコイイ・・・。
何でこんなにカッコイイんだ?
ていうかむしろ―――色っぽい。


ユフィはヴィンセントの前髪を掻き揚げる仕草に魅入ったようだ。
だが、そんなことがヴィンセントに判る筈もなく、ヴィンセントは首を傾げた。

「・・・どうした?」
「なっ何でもない!」

ユフィは首を横に振った。
そして、次の要求をした。
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