記念

□きっかけ大作戦
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「ヴィンセント」

ユフィは一つの包みを持ってヴィンセントに声を掛けた。







【きっかけ大作戦】








校門の所で声を掛けられたヴィンセント。振り返れば愛しい(片思いの)ユフィが目の前にいた。

「・・・何だ?」
「ヴィンセント、これからどっか行くの?」
「・・・ああ、アーヴァインと二人でニブル山にな」
「ふ〜ん、ピクニック?」
「・・・まさか」

何が悲しくて男と二人でピクニック行くのやら。
今回は学園が休日なので、散歩がてらニブル山で適当に宝探し。
ちなみに、弁当持参。

・・・・・・

ピクニックっぽいな。

そんなことを考えながらもヴィンセントは頭の中で「これはピクニックではない」と否定した。

「お昼ご飯はどうするの?」
「・・・現地で食べる」

それを聞いてユフィは噴出した。

「やっぱピクニックじゃ〜ん」
「・・・そ、そうでは・・・。それより、その手に持っている弁当包みはなんだ?」
「あ〜これ〜?ヴィンセントにあげようと思ってさ」

この時、ヴィンセントは驚愕した。

私に・・・あげる?
それも弁当を・・・?

「・・・手作り、か?」
「もっちろん!味の保証済みだよ!」

て、手作りだと!?
手作り弁当だと!!?
夢にまでも見たユフィの手作り弁当がまさか貰える日がこようとは・・・!
これは夢か?
実は夢だったというオチなのではないのだろうな?

「・・・ユフィ、これは夢か?」
「はい?」
「・・・いや、何でもない。だが、何故私に弁当を?」
「ちょっと訳があってさ〜」

ユフィは残念そうな苦笑いをしながら話始めた。

「本当は今日はセルフィとリュックと探検に行く約束してたんだけどさぁ〜、セルフィは急に生徒会で緊急招集されてダメなっちゃんたんだ」
「・・・リュックはどうした?」
「まさかの国語の補習授業」

用はドタキャンである。

「一人で行っても虚しいだけだから今日は学園にいようかなって思った訳」
「・・・自分で食べないのか?」
「もっと虚しいよ。てか、ヴィンセントはアタシの弁当がイヤな訳ぇ?」

そんなことあるか!

「・・・そんなことはない。実を言うとまだ昼飯は買ってないんだ」

ここでヴィンセントは嘘をついた。
本当はもう食堂でパンを買ってきてあるのだが、真実を言ってしまえばおそらく、手作り弁当は手に入らなくなってしまうだろう。
それを見越してヴィンセントは嘘をついた。

「え!?まだ買ってないで校門でアーヴァイン待ってたの!?」
「あ、ああ。今気がついたんだ」
「本当に〜?」

ユフィの目が細められ、ヴィンセントを見つめる。
ヴィンセントはそれに無言で耐えた。すると・・・

「ま、いっか。残さず食べてよ」
「・・・ああ、弁当箱はちゃんと洗って返す」
「ん〜、よろしく〜」

ユフィは手をひらひら振って背を向けたが、またすぐ振り返って―――

「お土産もよろしくね♪」

と、笑顔でウィンクしてまた背を向けてどこかに行った。


ヴィンセントはユフィから弁当を貰ったという感動がが大きすぎて、アーヴァインに声を二回程掛けられるまでずっと上の空だった。

「どうしたの、ヴィンセント?」
「・・・いや・・・。それより、これをお前にやろう」
「お、超人気の焼きそばパンじゃん!いいの?」
「・・・構わん」
「・・・なんかいいことあった?」
「・・・否定はしない」

こういう場合は絶対にユフィが関係していることをアーヴァインは知っていた。
そして、後にその真実を知る。
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