記念

□お届け
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ヴィンセントは頭を抱えたくなった。
抱えたくなって仕方なかった。





数時間前だった。
クラウドが荷物を届けに来た。
荷物は『取り扱い注意!!』と紙が貼られた大きめサイズのダンボール・・・


送り主―――シド・ハイウィンドウ


何だか嬉しくないと思ってしまうのはいけないことだろうか?
嫌な予感がしてならない。
ヴィンセントは受け取るのを渋ったが、クラウドが

「早くしてくれ。他にも届けなきゃいけない荷物があるんでね」

と、催促して来た。
その時の顔は仕事をする男の顔ではなかった。
何かを楽しむ憎たらしいことこの上ないバカの笑い顔だった。
殴りたくなったが、堪えて渋々荷物を受け取った。

クラウドは終始、にやついた笑みを浮かべていた。
やっぱり殴っておけばよかったと思い返すが、行ってしまったから仕方ない。

ヴィンセントは荷物をなるべく丁寧に運んだ。
荷物は案外重く、もしかしたら機械系が入っているかもしれない。

だが、まさかそんな期待を裏切られるとはヴィンセントは思いにもよらなかった。


伝票を見るが住所・送り主・宛先しか書いてなかった。
内容物は・・・空欄だった。
開けられるのは戸惑われたが、開けて中身を見なければ後でシドが五月蝿いだろうと予期したヴィンセントはそっと、蓋を閉じているガムテープを剥がした。

「・・・っ!!?こ、これは・・・!!!?」

ダンボールの中に入っていたのは機械系のものでも他のものでもなかった。


―――ユフィ・・・だった。


底面積が少し小さめのダンボールの中で身を縮めて寝ていた。
しかも、猫耳カチューシャにメイド服を着て・・・


信じがたい光景ではあるが、これは全て現実なのである。

「・・・」

たっぷり間を置いて、ヴィンセントは盛大に溜め息をついた。



こうして、冒頭に繋がる。
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