古書T

□雪と彼女
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ヴィンセント「・・・なんだ?」
リュック「べっつに〜?」
セルフィ「ただ、いい情報を教えておこうかな〜って」
ヴィンセント「・・・いい情報?」
セルフィ「ヴィンセントがアタシたちに後でお礼をはずんでくれたら教えないでもないんやけどな〜?」
ヴィンセント「・・・内容によるな」
リュック「どうする?」
セルフィ「折角だから教えてあげようか?」
ヴィンセント「?」
リュック「ユフィが一人で学園の裏にある、マカラーニャの森に行ったよ?」
ヴィンセント「・・・二人は行かなかったのか?」
セルフィ「ユフィがちょっと一人で行きたい言うたん」
リュック「だから一人で行かせたの」
セルフィ「外は丁度雪が降ってるしね〜?」
リュック「しかも昨日の夜から」
ヴィンセント「・・・何が言いたい?」
リュック「雪の中、一人佇む乙女」
セルフィ「舞い散る白き華」
リュック「その華と戯れるその様はまるで静かに踊る天使のよう」
セルフィ「そんなシチュエーションが待ち受けてるのに」
リュック「行かないのは損だよ〜?」
ヴィンセント「・・・食堂のプリンでどうだ?」
二人「毎度あり〜!!」










マカラーニャの森

ユフィ「やっぱキレーだな〜、雪が降りつつ積もっているマカラーニャの森は」
ヴィンセント「・・・ユフィ」
ユフィ「ヴィンセント・・・?」
ヴィンセント「・・・やっと見つけた」
ユフィ「どうしたの?こんなとこに来て?」
ヴィンセント「・・・それは・・・」

ヴィンセント(・・・そうだな・・・)

ヴィンセント「・・・ストーカーに襲われていないかと思ってな」
ユフィ「あー、大丈夫。まだ襲われてないよ」
ヴィンセント「・・・よかった」

ヴィンセント(適当な嘘が通って)

ユフィ「心配してくれてありがとね」

ニコッ

ヴィンセント「・・・!き、気にするな」

ヴィンセント(・・・雪の効果のせいか!?ユフィがいつもより可憐に見えて・・・!)

ボスッ(雪玉が当たる音)

ヴィンセント「・・・?」
ユフィ「ヴィンセント不意打ち〜!」
ヴィンセント「・・・やられたな」

ボスッ

ユフィ「わっ!?―――やったなー!!?」

ヒュッ

ヴィンセント「・・・ホラ、当たってないぞ?」
ユフィ「なんの〜!!」

ヒュッ ヒュッ ヒュッ

ヴィンセント「・・・当たらんな」
ユフィ「えいっ!!」

ドンッ(倒す音)

ヴィンセント「むっ!?」

ドシ〜ンッ

ユフィ「へへ〜ん!どうだ?参ったか〜?」
ヴィンセント「・・・参った。少し手を貸してくれ」
ユフィ「いいよ」

ぐいっ

ボスッ

ユフィ「・・・!!」
ヴィンセント「・・・くくっ、甘いぞ」
ユフィ「〜!もう〜っ!!」
ヴィンセント「・・・くくっ、悪かった」
ユフィ「反省してないように見えるんですけど〜?」
ヴィンセント「・・・これでも反省はしているぞ?」
ユフィ「ホントに〜?」
ヴィンセント「・・・それより、何故一人でここに来た?」
ユフィ「ん〜、なんとなく・・・かな?」
ヴィンセント「・・・ストーカーに襲われても判らんぞ」
ユフィ「でも、ヴィンセントは来てくれるってアタシ、信じてるよ?」

ヴィンセント(・・・物凄く頼られている?)

ユフィ「―――くしゅん」
ヴィンセント「・・・大丈夫か?」
ユフィ「だいじょーぶ、なんてことないよ」

パサリ

ユフィ「え・・・?」
ヴィンセント「・・・何が大丈夫だ。身体が震えているぞ?」
ユフィ「でも、マントがないとヴィンセントは寒くない?」
ヴィンセント「・・・生憎、そんなヤワな身体ではないのでな」
ユフィ「そーいやそーだね。寒くなったらガリアンになればいいもんね」
ヴィンセント「・・・そういう意味ではないが・・・まぁいいか」
ユフィ「?」
ヴィンセント「・・・雪はまだまだ降るな」
ユフィ「ねー。でも、体育の授業が雪合戦になるかもよ?」
ヴィンセント「・・・その時はまた勝負でもするか?」
ユフィ「一緒に組んで敵チームをビビらせるのもいいんじゃない?」
ヴィンセント「・・・フッ、それもいいな」

・・・・・・

ヴィンセント「・・・なんだ?」
ユフィ「ねぇ、ヴィンセント」
ヴィンセント「・・・なんだ?」
ユフィ「大晦日の夜は空いてる?」
ヴィンセント「・・・そうだな。親父も帰ってこないし、学園で年を越しそうだな」
ユフィ「じゃあさぁ・・・」

ヴィンセント(まさかこれはもしかして・・・!)

ユフィ「一緒に初詣に行かない?」
ヴィンセント「・・・・・・ああ、いい、ぞ・・・」

ヴィンセント(よしっっっっっっっっっ!!!!!!!!!!!)

ユフィ「よかった。セルフィたちは久しぶりに家で過ごすって言うからさ」
ヴィンセント「・・・ユフィは大丈夫なのか?」
ユフィ「親父は会社の人たちと大晦日でカウントダン・パーティー。アタシは友達と約束があるって嘘言って欠席」
ヴィンセント「・・・何故、嘘を言った?」
ユフィ「だって、パーティーに参加したらついでにお見合いされそうなんだもん」
ヴィンセント「・・・成る程」

ヴィンセント(それは大変だ)

ユフィ「それでどうしようかな〜っと思ってさ」
ヴィンセント「・・・それで私を誘ったのか」
ユフィ「うん。もしもよかったらお邪魔させてもらおうとも思ってたし」

ヴィンセント(どっちにしても大歓迎だな)

ヴィンセント「・・・では、当日は夜になるまで私の家にいるといい」
ユフィ「ええっ!?いいの?」
ヴィンセント「・・・学園からでは遠いからな」
ユフィ「わ〜!ヴィンセントの家に行くの初めて!!」

ヴィンセント(私も誰からの援護も受けず、お前を誘ったのは初めてだ)

ユフィ「楽しみだね!」
ヴィンセント「・・・そうだな」

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