古書T

□一名追加
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白黒兄弟の家。
家と言ってもマンションである。
30階建で、23階の一番右端が彼らの住まいだ。
余談ではあるが、結構、近所付き合いはいいのである。回覧板もきちんと回し、ゴミ捨てだって曜日と捨てる物を守っている。

そんなことは置いといて、今日はシークレット学園は祝日。そういう訳で二人は家にいたのだ。
いつもだったらどこかの学校に喧嘩を売ったり、街に行ったりしているのだが、どうやら今日はゆっくりするつもりらしい。
その理由として、ヴァイスは部屋で雑誌を読んでいた。
その時・・・

コンコンコン

ドアをノックする音がした。
誰だかは判っている、普通に。

「どうした?」

尋ねれば、それは入室してもいい合図。
ガチャリとドアが開いてネロが入室してきた。

「兄さん、少し出掛けて来ますね」
「ああ、ゴルアル学園にか?」
「ええ」

ネロの考えは大体判る。
まぁ、それは兄弟であり、二人が一つであるからでもあるが、最近ネロは暇があればゴルアル学園に行っている。
それも、ユフィに会いに・・・。
しかし、決まってヴィンセントに返り打ちに合って帰ってくるのが常なのだが、それでもネロはしつこくユフィに会いに行っている。

果たしてユフィはそんなにネロの気を引く程の魅力を持っているのだろうか?
自分が会う度に騒いでいたり、ヴィンセントがセットでついていたりする。
それにも関らずネロはユフィに恋心を持ち続ける。

それがどことなく気になる。

「なぁ・・・ネロ」
「何ですか?」
「悪いが・・・ユフィ、だったか?連れて来てくれないか?」

ネロの目が驚きに見開かれる。
当然と言えば当然であるが、ネロはそれを了承した。

「いいですよ。きっと兄さんも気に入る筈です」
「そうか?―――まぁ、もしそうなったら俺たちで可愛がってやろうな」
「はい」

ユフィからしてみればとんでもない会話をしている二人ではあるが、そんなことは気に掛けずにネロは闇の中へと消えた。

「・・・楽しみだな」

ボソリと呟いた言葉に自嘲する。
ユフィを連れてくる=誘拐するが如しであるからして、ヴィンセントが襲撃してくるのは間違いないが、その時はユフィを人質に取ってその場をやり切ろうかと思う。

ここで、ヴァイスは気がつく。

ヴィンセントはユフィのことが好きだ。しかし、ユフィはヴィンセントの思いには気付いてない。
もしここで自分がユフィを奪ってしまえばヴィンセントは戦意を喪失。
本編や今までの恨みを晴らせる上にユフィは自分とネロのものになって一石二鳥。

「・・・本当に楽しみだな」

ある意味完璧な方程式が出来て今度は妖しい笑みを浮かべるヴァイスだった。
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