巻物

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アーヴァイン「サンダー」

雷が侵入者探知機に当たって小爆発を起こす。
ヴィンセントとアーヴァインはそれを最後まで見届ける事なく無視して走る。
敵兵をやり過ごし、物陰に隠れながらそれっぽい扉を目指す。
扉に辿り着いた所で扉の両側に張り付き、銃を構える。

ヴィンセント「私が入ってすぐに研究者たちにサンダーをかける」
アーヴァイン「OK。いつでもいいよ」

アーヴァインが小さく微笑んで頷く。
ヴィンセントは『かみなり』と『ぜんたいか』のマテリアが装備されているのを確認してカウントダウンをする。

ヴィンセント「3,2,1・・・」

扉の前に踏み込んで自動ドアを開かせる。
突然の侵入者に、部屋の中にいた研究者たちは戸惑いを隠せなかった。

研究者「なっ!?侵入―――」

ヴィンセント「サンダー」

ヴィンセントが魔法を唱えたのと同時に研究者たちの頭上に雷が出現し、直撃した。
研究者たちは一人残らず倒れたが、念の為に起きている者がいないか確認して回る。
ちゃんと全員気絶しているのが判明した所で次はアーヴァインの出番だ。
メインコンピューターの前に立ってパネルをいじり始める。

ヴィンセント「あまり下手な事はするなよ」
アーヴァイン「判ってるって」

軽く返しながらアーヴァインはコンピューターから出来るだけ情報を引き出す。
画面にいくつものテキストウィンドウや画像が表示され、ざっと目を通しただけで軽く目眩がしそうだった。

アーヴァイン「噂通りというかなんというか・・・ホントにミリテス皇国ってほの暗い事してんね〜」
ヴィンセント「モンスターの融合に品種改良、水陸両用モンスターの精製・・・
       これはプレジデントの方の神羅と張るな」
アーヴァイン「改造したモンスターで何するのか知らないけど、そうはさせないから」

アーヴァインは呪文を唱え、サンダガをメインコンピューターに放った。
轟音の後に眩い光が現れてメインコンピューターに直撃する。
するとコンピューターはショートし、部屋の全てのコンピューターが「プツ・・・ン」という音と共に落ちた。
画面は真っ暗になり、もう何も映さない。

アーヴァイン「データは吹っ飛んだと思うけど・・・多分いくつかのデータは本国にとっくに送られてるだろうね」
ヴィンセント「それでも書き込み途中のデータだけでも消去出来た筈だ。それより次に行くぞ」
アーヴァイン「うん」

二人は慎重に扉の向こうを伺った後、部屋を出て次の部屋へと向かった。
二度、三度と似たような部屋に出くわしては同じやり方で襲撃してコンピューターなどを破壊した。
やり過ごせない皇国兵に出くわしたりもしたが、素早く気絶させて適当な所に隠した。

アーヴァイン「結構順調にこれたけどさ〜・・・いつまで続くと思う?」
ヴィンセント「もう続かんだろうな」
アーヴァイン「だよね〜。ま、世の中そう上手く行かないって事か」

アーヴァインは苦笑しながらヴィンセントと共に銃に弾が入っているかどうか確認した。
今、二人は一つの大きな扉の前にいた。
大きさからしてみて、モルボルやベヒーモス、潜入する時に使ったコロッサスなどは余裕で通れるだろう。
先程まで襲撃してきた部屋の扉の大きさは人間が一人か二人通れるくらいの大きさだ。
それと比べて目の前の扉がそれの倍の大きさとなると、考えられる事は一つ。

アーヴァイン「モンスター実験の部屋はそう簡単に襲撃出来ないよね〜」

そう、モンスター実験の為の部屋だ。
扉の両側に皇国兵が待機していた辺り、モンスターが暴れた時の為の対策だろう。
ちなみに、待機していた兵はとっくにサンダーで気絶させている。

アーヴァイン「どーする?」
ヴィンセント「無駄だとは思うが同じ手はずで行くぞ」
アーヴァイン「了解」

アーヴァインとヴィンセントは扉の両側に張り付き、銃を構える。

ヴィンセント「3,2,1―――」

カウントダウンの後、ヴィンセントは素早く扉のボタンを押した。
大きな扉は重厚に出来ていて、開くのにしばしの時間を要した。
開くまでのその時間が二人の緊張を高める。
鼓動が五月蝿いが集中する事によって聞こえないふりをする。
そうしてしばらく待って開いた扉の中の様子を二人は伺う。
だが―――

アーヴァイン「あれ・・・?」

扉の向こうには誰もいなかった。
カウントするのであれば、いたのは4つのポッドの中に入っているモンスターだけである。
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