巻物

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アーヴァイン「いでよ!ケツァクウァトル!!」

アーヴァインの言葉に応じて兵士たちの前にケツァクウァトルが眩い光と共に降臨する。
ケツァクウァトルは翼を大きく広げてはためかせ、皇国兵を見下ろす。
初めて見るケツァクウァトルに兵士たちはどうすればいいのか判らず、ただただ戸惑うばかりであった。
それはフェイス大佐とて同じである。

フェイス大佐「軍神・・・!?」

敵が戸惑って動きを止めている隙にケツァクウァトルは雷を口元に集中させた。
集中する雷は球のように膨れ上がる。
そしてある程度溜まった所で集中した雷はとてつもない轟音と共に兵士たちに向かって放出された。

皇国兵『ぐぁあーーーーーーーーーーーーー!!!』

轟音と兵士たちの断末魔が地下一体に響き渡る。
止めに雷のホールで包まれ、一筋の槍の如き雷が降り落ちて爆発した。
これにより兵士たちは一人残らず倒れた。
生き残った者と言えばフェイス大佐ただ一人だけである。
だが、本人は未だに召喚獣の出現に驚いてばかりだった。

フェイス大佐「あれが・・・朱雀とは違う噂の軍神・・・!」

アーヴァイン「余所見をしていていいのかい?」

アーヴァインの言葉の後に銃声が響く。
間一髪の所で反応出来たフェイス大佐はかろうじてそれを避けた。
銃弾が軍服ギリギリを掠めて遠くの壁に当たって金属音が一瞬響く。
これに対して応戦すべく、フェイス大佐はサーベルを取り出した。

フェイス大佐「後始末が大変ですが、やむを得ないですね」

フェイス大佐は懐に手を差し入れて一つの小さな装置を取り出した。
装置には赤いボタンが付いており、フェイス大佐は躊躇いなくそれを押した。
すると、ポチッという音と共に背後で水が抜かれるような音が鳴る。
もしやと思って振り返ってみると、丁度四体のモンスターが入ったポッドの水が全て抜き終わってポッドが開く所だった。

アーヴァイン「品種改良済みのお客様四名ご案内で〜す・・・」
ヴィンセント「・・・私が接客しよう。アーヴァインは大佐をもてなしてやれ」
アーヴァイン「りょーかい」

モンスターの元へ歩き出すヴィンセントに対してアーヴァインはフェイス大佐と対峙する。
銃に対して刀は相性が悪いが、それに関する対処は心得ている。
どこまで対応出来るかはフェイス大佐の力量によるが、無様な戦いにはならないだろう。
アーヴァインは気を引き締めて戦いに臨んだ。

フェイス大佐「手加減はしませんよ」

アーヴァイン「こっちだって」

空気は張り詰め、両者共に睨み合う。
互いを牽制するように距離を詰めるでもなく数歩ずつ歩く。
二人が睨み合っている時間はほんの数分であったが、二人からしてみれば永遠にも近い時間が経過していた。
けれどそんな二人の時間を動かしたのはモンスターに銃弾を撃ち込んだヴィンセントの銃声だった。
それを合図にフェイス大佐は素早くアーヴァインに斬りかかる。

フェイス大佐「はっ!」

サーベルがアーヴァインに襲いかかるが、アーヴァインはそれを軽やかに避けて帽子を抑えながら銃を唸らせる。
しかしフェイス大佐もそれらをテンポ良く躱す。
そしてぐっと姿勢を低くして前方へ踏み出す。

フェイス大佐「はぁああっ!!」

一気にアーヴァインとの距離を詰めたフェイス大佐は再びサーベルを手に斬りかかる。

アーヴァイン「うわっとっと・・・!」

いきなり至近距離に来られたのでギリギリの所でしか躱せなかったが、それ以降はなんとか軌道を読んで躱す。
だが、フェイス大佐の追撃は厳しく、中々反撃の隙を与えてくれない。
そうやってそのまま後ろへ後ろへと後退している内にアーヴァインの背中は冷たい鋼鉄の壁と出会う事となった。

アーヴァイン「あれ?わっ!!」

後ろが壁である事に驚いたのと同時にサーベルの凶刃がアーヴァインを襲う。
けれど、それを銃を持っていない方の手で帽子を抑えながらしゃがむ事によってなんとか避ける。
この瞬間のチャンスをアーヴァインは逃さず、素早く足を出してフェイス大佐に足払いをお見舞いした。

フェイス大佐「ぐっ・・・!」

まさかの反撃に合い、フェイス大佐は床に転がった。
今度はアーヴァインが追撃する番で、彼はエクゼターを構えて引き金を引く。
しかし、フェイス大佐はそれをアーヴァインとは反対方向に転がって追撃を躱す。
勿論、アーヴァインがそれだけで引き下がる筈もなく追撃は続く。
引き金は何度も引かれるがその分だけフェイス大佐が転がって避ける為、弾が鋼鉄の床に跳ね返って金属音を響かせる。
転がり続けるフェイス大佐はその勢いで素早く起き上がってアーヴァインとの距離を取った。
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