巻物

□番外編
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ユフィとラグナがケルベロスレリーフを拾う少し前の事。


一人考えに耽っていたヴィンセント。
ユフィやクラウドにティファ、それにコスモスの戦士たちとの戦いを如何にして避けるか。
コスモスの戦士たちを傷つける事はユフィたちの戦友を傷つけるが如し。
そうなっては特にユフィが悲しむ。

どうしたものかと考えていた時―――


「!?」


明らかな敵意を察知してヴィンセントは振り返った。
すると、そこにはエクスデスがいた。
そして剣を振り上げる。


「っ!!」


素早く避けたヴィンセント。
しかし、エクスデスの剣の切っ先がケルベロスレリーフのチェーンをかすめ、
ちぎれてしまった事にヴィンセントは気づかない。


「・・・何の真似だ?」
「戦いをしない者への制裁だ」


平然と答えるエクスデス。
恐らく彼には同じ軍の者を斬る事に関して何の感情も持っていないだろう。
持っているとしたらゴルベーザとジェクトくらいだ。


ヴィンセントは敵意を剥き出しにしながらケルベロスを構えた。


「・・・仲間内同士で戦うと目を付けられると聞いたが?」
「これに関しては既に話し合われている」
「・・・成程、都合がいいな」


ヴィンセントは皮肉を込めて言い放った。
しかし、エクスデスは気にしていないらしく、剣をしまってヴィンセントに問うた。


「何を躊躇う必要がある?」
「・・・何がだ?」
「戦う事についてだ。元の世界の仲間ならいざ知らず、
 別の世界の者なら関係がないから遠慮無く戦えるだろう?」
「・・・生憎、私はお前とは違って色々考えているんだ」


お互いに睨みあったまま沈黙が続く。
しばらくすると、エクスデスは徐に踵を返した。


「甘い事を言っていられるのも今の内だ」


それだけを言い残すと、エクスデスは消えた。


「・・・」


エクスデスが消えた所をヴィンセントはしばしば見つめた。
そして、見つめるのをやめると、けルベルスをホルダーにしまって、そこを立ち去った。

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