巻物

□U
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「ユフィ、元気になった?」


最初に声をかけてくれたのはユウナだった。


「うん、なんとか」
「ほんじゃま、そういう事でそこの二人、もう出てきていいぞ」


え?二人?
ラグナが見てる方をアタシも見た。
すると、ジタンとバッツが物陰から出てきた。

・・・いつから?


「いつからー・・・バレてた?」
「んー、途中から」


バッツの質問に答えるラグナ。
でも、答えになってないと思う。
そこで、ジタンが頭を掻きながら前に出た。


「・・・まずかった?」
「そーでもねーと思うけど、ユフィはどうだ?」
「あーまー、大丈夫、かな?」
「そっか」


そう言ってジタンはアタシの所に来た。


「ユフィ、本当に大丈夫か?」
「うん、ユウナやコスモスたちに元気づけてもらったからね」
「そっか。―――なぁ、ちょっとそこら辺でデートしねーか?」
「ジタン?」


ジタンの発言にユウナが反応する。
勿論、アタシもやや困惑してる。


「まーまー、ここはジタンに任せるッス」
「そう?」
「そーと決まったら行こうぜ!」


そう行ってジタンはアタシの手を強引に引いて少し離れた所に連れて行った。


「それにしても、ヴィンセントの奴も酷いよな〜」
「ホントホント、いくら突き放す為とはいえ、泣かす事はねぇッスよ」
「女を泣かすのはよくないよな」
「流石に酷いよね」
「ん〜・・・俺にいい考えがあるぞ〜?」








少し離れた所


「ユフィ、本当はまだ辛いんjねーのか?」
「まーね・・・」


大分平気にはなったけどまだ少し辛い所があったりするんだよね。
つか、よく判ったな。


「何で判ったの?」
「俺にレディで判らない事なんてないっての」
「流石女好きだね〜。でも、あんまりそんなんでいると好きな人出来ないよ?」
「残念だけど、もういるんだけどな〜、こ・れ・が」
「ええっ!?」


アタシは(失礼かもしんないけど)心底驚いた。
いや、まさかいたとは・・・。


「何だよ?その心底驚いたみたいな顔はよー?」
「だってホントの事だもん。つか、浮気してていーの?」
「浮気じゃねーもん。アドバイスとかそんなんだもん」
「あー言えばコー言う・・・アンタらしいね」


アタシは笑ってみせた。
すると、ジタンも笑った。


「やっぱユフィは笑顔が一番だな」
「え?」
「悲しい顔より笑顔がいいって事だよ」


アタシはジタンを見た。
ジタンは尚も笑顔でいる。


「やっぱ太陽は笑顔じゃなきゃな!」
「太陽・・・」


アタシはふと、いつか前のヴィンセントとのやり取りを思い出した。
他愛もない話をしてた時、ヴィンセントがアタシの事を“太陽”って言ってくれて・・・とっても嬉しかったっけ。
アタシは思わず笑みが零れた。


「なぁ、元気になったか?」
「うん。ありがと、ジタン」
「じゃあ戻るか」
「そーだね」


アタシとジタンは並んで歩いてラグナたちの所に戻った。







「おー、話は済んだか?」
「うん!」
「ユフィ、俺たちいい事思い付いたんだぜ?」


バッツが楽しそうに話かける。
いい事ってなんだろ?
アタシは聞いた。


「いい事って?」
「聞いて驚け〜?なんと、ユフィの為に『説教委員会』を設立したんだ!」
「『説教委員会』?」


ラグナの言う『説教委員会』をアタシはオウム返しで尋ねた。
・・・なんだ、それ?


「ユフィを泣かせたヴィンセントって人を説教する委員会だよ」


ユウナ、笑顔でさらっと凄い事言ってるような・・・。


「勿論、委員長はこの俺!」
「副委員長は俺ッスよ!」
「書記は俺な!」
「書記っているのか?」


ジタンの言う事は最もだった。
アタシも思った。
書記はいらないと思うよ、バッツ。


「まぁ、何でもいいだろ」


バッツってこういう所が前向きだよな〜。
悪くないけど。
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