巻物

□U
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「ここって・・・『過去のカオス神殿』?」

「待っていたぞ、小娘」


背後から聞こえた声にバッと後ろを振り返る。
すると、そこにはガーランドがいた。
アタシは挑戦的に尋ねた。


「アタシに何か用?」

「貴様にヴィンセントについて判ってもらおうと思ってな」

「判ってもらうって何を?」

「あの男は我らカオス軍の戦士であり、貴様の敵だという事だ」

「悪いけど、判ってなんかやんない。ヴィンセントはアタシの仲間だ!
 カオスの戦士なんかじゃない!!」

「貴様も見たのであろう?ヴィンセントの手の甲にある“カオスシンボル”を」

「だから何?アンタたちが魔法か何かかけたんじゃないの?」

「・・・何故そう思う?」


あ、これきっと図星だな。
やっぱりそうだったのか。


「だっておかしいじゃん!ヴィンセントにだけあってアンタたちに“カオスシンボル”がないのはさぁ!
 ―――痛い目見たくなかったら早くヴィンセントを解放しな」


アタシは不惧載天を構えて戦闘モードに入った。
だけど、予想通りガーランドからの答えは好ましいものじゃなかった。


「物分りの悪い小娘よ、我らカオス軍の為にも、貴様を今ここで消す」


すると、ガーランドの両隣から二人の人物が現れた。

皇帝と暗闇の雲だ。


「覚悟しろ、小娘」
「・・・」

皇帝はともかく、暗闇の雲は無言。
ノーコメって事?
随分余裕じゃん。
アタシもなめられたもんだね。


「なに〜?アンタ、一人のか弱い美少女相手に三人で挑むの?
 そんなにアタシが怖い訳?」

「セフィロスから話は聞いている。中々やるそうじゃないか、小娘」


だからって三対一は卑怯だと思う。
・・・セフィロス、ある程度の嘘を言ったんじゃないのかな?
それとも、コイツが過大評価をしてるだけか。
はたまた、単に横の二人は暇だったから付いて来ただけか・・・。

―――まぁ、いっか。


「手加減しないよ!」

「来いっ!小娘!!」


そして、激しい戦闘が始まった。

皇帝は別に大した事はなかった。
つか、何度か顔踏んでやったし。
ガーランドは・・・まぁ、剣の射程範囲とかタイミングとか分かればそうでもなかった。
問題は暗闇の雲。

もー・・・メンドくさい!!


「うぁっ!!」


アタシは思いっきり壁に叩き付けられた。


「うっ・・・」


身体に激痛が走る。
でも、そうこうしてる内に三人がアタシに詰め寄る。


「終わりだ、小娘!」


ガーランドのおっさんが剣を振り上げる。
アタシ・・・これで終わっちゃうのかな?
そしたらどうなるのかな?
元の世界に帰るの?
ヴィンセントを置いて・・・。


「っ・・・!」


目を瞑って覚悟を決めた。
でも、痛みはいつまでもやって来ないで、代わりに浮遊感が生まれた。


「?」


スタッと着地する音が聞こえて、アタシは恐る恐る目を開けた。
すると、そこに居たのは―――


「ウォー・・・リア・・・?」
「大丈夫か?」


真っ直ぐに見つめてアタシの安否を確認する戦士―――ウォーリア。
まさかの意外な人物の登場にアタシは驚いた。


「貴様―――!」

「果ーてろーっ!!!」


狼狽えたガーランドに何かが突撃した。
そして、ガーランドはさっきのアタシよりも激しく壁に身体を打ち付けた。
うん、ざまぁ。
って、あれって・・・


「大丈夫か、ユフィ!?」


紫の髪の女の子―――プリッシュがアタシの方を見て尋ねた。


「う、うん」

「ユフィ、これを」


そう言ってウォーリアはアタシを降ろしてポーションをかけてくれた。
傷とか痛みとかが一気に癒える。


「ありがと。もう大丈夫」
「危なかったな。だが、私たちが来たからにはもう安心だ」
「おう!一気に巻き返すぜ!ユフィ、行けるか!?」
「もっちろん!!」


アタシは立ち上がってもう再び戦闘態勢に入った。
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