巻物

□トレジャーと歴史の姫
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※パラレルです





彼の名前はヴィンセント・ヴァレンタイン。
彼の表の顔は、リーブに雇われているモンスター退治専門の腕利きガンマン。
そして、裏の顔はトレジャーハンター。
仕事が二、三日続いてない日は、トレジャーに出る。
そして、手に入れたお宝は換金所に出している。
換金した使い道は・・・未定である。


今日の目当てのお宝は

『水底の大秘宝』

というものだ。
『ウータイ』という伝説の国の跡地にある深い湖の底に大秘宝が眠っているらしい。
しかし、潜って取りに行こうとすれば、たちまちその大秘宝を守る水神が現れて行く手を阻むようだ。



だが、ヴィンセントにそんなものは関係なく、一人ウータイの跡地に訪れていた。

「・・・ここだな」

例の湖に到達する。
一見すれば何の変哲もない普通の深い湖。
近づき、覗き見ようとした瞬間・・・


ザバアアアアアアアアアッ!!!!!!


水神が現れた。
戦闘態勢に入るヴィンセント。
そして、ヴィンセントと水神の死闘が始まる。








現状において、ヴィンセントが少しだけ優位にいた。
水神の方はもう体力が無いように見える。

「・・・これで終わりだ」

ヴィンセントが銃口を水神に向けたその時―――


“殺せるものなら殺してみろ だが、主は渡さんからな”


声がしてヴィンセントは驚く。

(今の・・・声は?)

他に何かいるのかと思い、辺りを素早く見回すが誰もいなかった。
そして、水神に向き直る。

「・・・まさか・・・」


“どうした?”


確信する。
声の主は水神だと。

「・・・喋れるのか?」


“だからどうした?”


「・・・喋るなど聞いてないな」


“今まで私を手こずらせることのできる奴はいなかったからな”


「・・・そうか。だが、主とは誰のことだ?」


“貴様が知る必要はない”


「・・・主に危害を加えたりはしない。いるのなら会わせてくれないか?」


”会ってどうする? その言葉を私が信じると思っているのか!?”


水神はヴィンセントに突進してきた。
だが、ヴィンセントは銃は構えず、大きな声を発した。

「私は必ずその“主”に危害を加えない!」

ピタリ、とヴィンセントに直撃する寸前で水神の動きが止まる。


“・・・嘘であろう?”


「・・・嘘ではない。本当だ」


“では、主をどうするつもりだ?”


「・・・差し支えがなければ私が保護する」

ヴィンセントの言葉を聞いて水神はしばらく考え、ヴィンセントの瞳をじっと見つめた。

血のように紅い瞳。
濁りの欠片が一つも見えない。
在るのは真実だけ。

水神は決断を下す。
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