巻物

□いいの?
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ユフィはトラビア旅行に備えて買い物に来ていた。
旅行用セットをあれこれと選んでいる時に一人の女性がユフィに話しかけた。

ルクレツィア「あれ?もしかしてユフィちゃん?」
ユフィ「ん?ルクレツィアさん!?」

思わぬ人物に遭遇してユフィは驚く。

ルクレツィア「何してるの?旅行の準備?」
ユフィ「まぁ、そんなとこかな」
ルクレツィア「ヴィンセントと思いっきり楽しんでくるといいわ」
ユフィ「ええっ!?何でヴィンセントと行く事知ってんの!!?」
ルクレツィア「新生神羅とパラメキア社合同の『愛の試練』を観客席で見てたから」

まさかあの時、観客席で見ていたとは・・・。
それを聞いてユフィは少し気まずくなり、言いづらそうに小さく言った。

ユフィ「えっと・・・その、知ってるかどうか判んないけど・・・」
ルクレツィア「貴女がヴィンセントを好きなこと?」
ユフィ「な、何で知ってるの!?」
ルクレツィア「何でだと思う?」

ルクレツィアが悪戯っぽく笑う。
その時、ユフィの頭に一瞬にしてシャルアが浮かび上がった。
シャルアとルクレツィアは友人らしいし、その辺はきっと伝わっているのだろう。
ルクレツィアは続けた。

ルクレツィア「応援してるから頑張ってね」
ユフィ「うそっ!?してくれるの!?でもルクレツィアさんとヴィンセントは―――」
ルクレツィア「もうそういう関係じゃないわ。気にしないで」

ルクレツィアとヴィンセントの関係は長年複雑なものだったが、それは随分前に解消された。
一つの理由としてはルクレツィアが結婚したことにある。
最初はヴィンセントも引きずってたものの、何とか割り切ったとか。

ユフィは少し間を置いてルクレツィアを上目遣いで見た。

ユフィ「・・・いいの?」
ルクレツィア「え?」
ユフィ「本当にいいの?アタシ、ヴィンセントを全力で手に入れて放さないよ?」
ルクレツィア「むしろ、ずっと離れないでいてあげて」

これはルクレツィアの密かな願いだった。
自分と色々あった分、ヴィンセントには幸せになって欲しい。
この気持ちはどちらかと言えば息子を見守る母親か姉のようなもの。
ルクレツィアが優しく微笑むと、ユフィは挑戦的な笑みを返した。

ユフィ「後でやっぱ返してって言っても返さないから」
ルクレツィア「言うと思う?」

そして二人はお互いに笑い合った。
その後からは普通の友達のように買い物をした。

ルクレツィア「そういえば、香水はいいの?」
ユフィ「香水?何で?」
ルクレツィア「あら、甘い香りの香水を少し匂わせればヴィンセントもその気になってくれるかもよ?」
ユフィ「や、やややまだ早すぎだって!!!」

とかなんとか言いながら結局買ってしまったユフィ。
使う日がくればいいのだが・・・。
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