理事長からの贈り物

予兆だったりその後の話だったりなんとく書いてみたり・・・

◆もどかしいもの 

※オペオムです


「シェルクは未来を知ってるんだよね?」
「ええ、まぁ」
「そっかー。じゃあアタシが最近読み始めた漫画のその後の展開も知ってる訳か〜」
「そうなりますね」
「あ、でもネタバレ禁止だから!これからの展開楽しみにしてんだから!」
「分かっています」

(言えない、その漫画はすぐにウルトラ超展開に入って打ち切りになったなどと・・・)






「・・・これ、絶対に言っちゃ駄目だから」
「何ですか?」
「・・・アタシさ・・・ヴィンセントの事・・・好き、なんだよね・・・」
「知ってます」
「あ、未来のアタシってばシェルクにそれ話してた?」
「はい。ティファと共に何度も相談を受けてましたから」
「そっか〜。でもそうだよね、相談しまくるよね。だってヴィンセントは・・・」
「・・・」

(言えない。ドラマのようなすれ違い大恋愛を展開した末にユフィはヴィンセントと結ばれたなんて言えない・・・流石に野暮ですから)






「とまぁ、こんな感じでもどかしいのでさっさと記憶の事を皆に話して下さい」
「・・・・・・まだ様子を見ておくべきだと私は思う」
「そう言って本当は少し楽しんでるんじゃないですか?ユフィがあの時のように片想いをしてくれている状況が」
「・・・そんな事はない」
「私の目を見て言って下さい」

2023/12/06(Wed) 23:30 

◆誕生日というものは 

毎年毎年よくもまぁ飽きないものである。
ソファ前のテーブルにいそいそとコーヒーとケーキを用意するユフィを眺めながらヴィンセントは内心思う。
このケーキはおやつとかそういうものではなく、ヴィンセントの誕生日ケーキである。
セブンスヘブンでの誕生日パーティーとは別にユフィは恋人として祝いたいという事で毎年こうして甲斐甲斐しくケーキを用意して祝ってくれる。
勿論それは嬉しいのだが、本当に飽きずにめんどくさがらずにしてくれるのには感心している。

「よぉーし、これでオッケー!」
「毎年悪いな」
「アタシがやりたいからいーの!それにケーキ食べられるしね」
「目的はそれか」
「ちゃんとヴィンセントを祝いたいって気持ちが上ですー」
「そういう事にしておいてやろう」
「こんにゃろー!」

ユフィは頬を膨らませながらも「ま、いいや」と早々に気持ちを切り替えて「いただきまーす」と嬉しそうにケーキを食べ始める。
対するヴィンセントの方はコーヒーを一口飲んでからケーキに手を付け始めた。

「ヴィンセントはさ、誕生日にアタシにして欲しい事とかないの?」
「お前からプレゼントを貰った。それで十分だ」
「あま〜い!このケーキよりも甘いよヴィンセント!」
「私のはほろ苦い」
「変な屁理屈返すな!誕生日ってのは自分が主役になれてあれこれ我儘言える日なんだよ!?もっとフル活用しなくちゃ!!」
「流石毎年自分の誕生日になると我儘の限りを尽くす奴は言う事が違うな」
「うっさいな〜!いいもん、折角ヴィンセントの我儘にとことん付き合ってやるつもりだったのにもう聞いてやらないもん!」
「それは残念だな。折角お前が見たがっていた映画のチケットを用意したんだがな」
「えっ?」

反射的にユフィが顔を振り向かせるとヴィンセントが懐から映画のチケット二枚をチラつかせている所だった。

「映画を見た後はどこかで食事をして少し散歩をしてからまたここに帰ってきて『色々したかった』んだがな」

最後の『色々したかった』の意味にユフィは赤面しつつも慌てて縋りつく。

「や、やりたい事があるなら先に言いなよ!」
「だがお前はもう私の我儘を聞いてくれないのだろう?なら、私一人で行って一人で楽しんでくる。途中で見知らぬ誰かに慰められたら帰りが遅くなるかもしれんがその時は先に寝ててくれ」
「こらー!浮気宣言すんなー!」

抱き付いて頬を膨らませながら浮気は許さないだの自分が一緒に行くから誰にも誘われないだの喚くユフィにたまらず噴き出す。

今年の誕生日も楽しく過ごせそうで何よりだった。

2023/10/13(Fri) 23:38 

◆背中 

「・・・」

ユフィは目の前の広く大きな背中を見つめる。
普段は赤いマントや黒のレザースーツに包まれていて細くスマートに見える背中は衣類を脱ぎ捨てて素肌を晒すと大きく見える。

「えいっ」

大きさが変わってるんじゃないかと試しに抱き付いてみる。
が、あまり変わりはなかった。

「どうした?」

黒の長い髪がサラリと揺れて美しく整った顔がおかしそうに振り返る。
ユフィは大きな背中に顔をペタリとくっつけて一言。

「確認中」
「確認?]
「アンタの背中ってこんなに大きかったっけ?って」
「何も変わらないと思うが・・・結果は?」
「うん、変わんない。でもパッと見は普段よりも大きく見えんだよね〜」
「服の所為かもしれんな。それよりも入るぞ」
「ほーい」

ユフィはヴィンセントから離れると共に浴室に入って行くのであった。

2023/04/03(Mon) 23:05 

◆子供じゃない! 

「ぷはーっ!どーだ!アタシだってお酒飲めるんだぞ!」

「つったって酎ハイじゃねーか」

「俺たちからしたらそんなんはジュースと同じだぜ」

「でもお酒じゃん!アルコールが入ってるのに代わりないじゃん!だから立派な大人だよ!」

「へーへーそうだな」

「飲み過ぎて二日酔いになるとアレだからティファにリンゴジュース作ってもらったらどうだ?酒っぽく見えるぞ?」

「そりゃぁいい!!」

「もう!!揶揄うなよ!アタシも大人になったの!いつまでも子供扱いすんな!」

「つってもよぉ、酒飲めるだけが大人じゃないんだぜ?」

「酸いも甘いも噛み分けんのが大人ってもんよ」

「オヤジはそーやってす〜ぐ誤魔化す!そんなんなくてもアタシがもう大人だっていうとっておきのしょーめいをしてやる!」

「はぁ?とっておきの証明だぁ?」

「何だよ?」

「フッフッフッ、聞いて驚け!アタシはヴィンセントと―――」

「ユフィ」

「ん?なにヴィンセント」

「ティファがポテトとからあげを作ってくれたぞ」

「ポテトとからあげ!?」

「ポテトいっぱい揚げたよ」

「やった!いただきまーす!」

「お子ちゃまメニューにつられてるようじゃまだまだだなぁ!」

「だな!」



「危なかった・・・ティファ、感謝する」

「ううん。でもこの様子だとお酒に慣れるまでしばらく外では飲ませられないね」

「ああ・・・」


(爆弾発言を阻止出来て危機一髪だった・・・)

2023/03/15(Wed) 22:42 

◆音の旅の途中で 

音の力を集めて?
クリスタルに力を取り戻す?
とかなんとかまた訳の分かんない戦いに巻き込まれたけどアタシはいつも通りにやるだけ。
そう、お宝を集めるっていうライフワークをね!
そんな訳で片おも・・・暇そうにしてたヴィンセントと新しい友達のエースっていう男の子を連れて、いざお宝ハントへ!

「とりゃ!」
「・・・」
「援護する!」

次々と現れるモンスターを華麗に美しく倒すアタシとその他二人。

「ユフィ、僕達を雑に扱うな」
「いーじゃん、別に」
「むっ・・・僕、他のパーティーに行く」
「だ〜め!一緒にお宝探すの!」

拗ねたような顔をしてどこかに行こうとするエースのマントを引っ張って畦道を行く。
またモンスターが現れた!

「せいっ!」
「・・・」
「ハッ!」

いつもの通り三人でモンスターを片付けていく。
でも、モンスターがヴィンセントの不意を突いて背後から襲い掛かろうとした。

「ヴィンセント!」

優秀なアタシはすぐに愛用の十字手裏剣をモンスターめがけて投げつける。
モンスターは呆気なく散った。

「やりぃ!」
「流石だな、ユフィ」
「ふふん、ま〜ね!」

素直に褒めてくれるエースに気をよくして胸を張る。
そこにヴィンセントが静かに歩み寄ってきて耳元で一言。

「礼を言わねばならないな・・・」
「!!?」

それだけ言ってスッとヴィンセントは離れる。
驚いたアタシはサッと囁かれた方の耳を片手で抑える。
不意打ちで耳元で低音を囁くのは反則だって・・・!

「ユフィ、どうしたんだ?顔が赤いぞ?」
「な、何でもない!!」

顔を覗いてこようとするエースを振り切って走る。
それからしばらく、アタシはヴィンセントの顔を見る事が出来ないのであった。

2023/02/18(Sat) 21:28 

◆泣き虫 

※オペオム時空です


ユフィ「ちぇー、今回もお宝の収穫無しか〜」

ヴィンセント「泣かないのか?」

ユフィ「は?何で?」

ヴィンセント「昔は泣いていたのだろう?失敗する度に」

ユフィ「な、何言ってんのさ!?泣いてなんかないし!!」

ヴィンセント「すぐにベソをかいてしゃがんでいたそうだな」

ユフィ「しゃがんでなんかないし!走って逃げ・・・って、ああ!?」

ヴィンセント「やはりか」

ユフィ「引っ掛けたな〜!?」

ヴィンセント「引っ掛かるお前が悪い」

ユフィ「こんの〜!ていうかその前にザックスだよ!今すぐ口止めしてこなきゃ!!」

ヴィンセント「泣き虫が行ってもまた泣かされるだけだ」

ユフィ「泣き虫じゃないっての!!」

2023/01/20(Fri) 21:50 

◆逆転 

普段は

「かまえ〜」

と言ってソファで読書するヴィンセントの膝の上に転がるユフィ。
しかしそんなユフィの事はあまり気に留めず時々顎や頭を撫でるだけのヴィンセント。

「アタシはネコかっ」
「ネコのようなものだ」

しかしユフィが夢中になるもの、例えばゲームなどをやっている時

「・・・」

ラグの上で胡坐をかいてゲームに集中するユフィをヴィンセントはソファに座って後ろから静かに眺める。

「・・・」

しかし構ってもらいたくなると無言でユフィの後ろに座って抱き締める。
それに対して良い背もたれが出来たと言わんばかりに思いっきり凭れ掛かるユフィ。

「これはどういう話だ?」
「農業やりながら冒険するゲームなんだけど―――」

ヴィンセントの構ってほしいオーラを堪能したくてわざと長くゲームする事もあれば「今日は疲れたからここまで!」と言ってゲームを終わらせてヴィンセントに構うユフィ。
今日は後者になるのであった。

2022/11/11(Fri) 19:37 

◆それでも 

「朝だぞヴィンセント〜!おっきろ〜!」

ゆさゆさと体を揺り動かされ、瞼を開く。
すぐに目に飛び込んで来たのは天井ではなく、唇を尖らせるユフィの顔。

「ま〜ったく!ヴィンセントは寝坊助なんだからさ〜!」

いつも遅くに起きてるのはどっちだ、と思うものの言葉として発する事は出来なかった。
特段喋るのが億劫という訳ではないがとりあえず『思う』だけに留めて起き上がる。
ベッドの縁に座った所で今日が何日で何曜日かが気になり、スマホを探す。
しかしサイドボードの上にある筈のそれはなかった。
仕方ないのでユフィに聞く事にする。

「ユフィ、今日は何日で何曜日だ?」
「今日はこれからゴミ捨ててー買い物行ってーご飯食べてー」

突如としてベッドから寝室の入り口までの距離が異様に長い事に気付く。
ユフィはいつの間にか入り口を出る所まで歩いていた。

「ユフィ!」
「それからー・・・」

大きな声で呼んでもユフィは振り返らず、距離が出来るにつれ聞こえてくる声は小さくなる一方。
もう一度大きな声で呼んでみようかと思ったその矢先、スマホのアラームがけたたましくサイドボードから鳴り響いた。




「・・・夢か・・・」

アラームを止めてヴィンセントは己が今まで夢を見ていた事に気付く。
サイドボードの上にちゃんとスマホはあるし、ベッドから寝室の入り口までの距離はちゃんと短い、
そして気配を研ぎ澄ましても現在この宿の一室にいるのは自分だけだと確認する。
当然ユフィはいない、現在自分はユフィとは別の任務で来ているのだから。

「・・・まだ一週間程度しか経過していないのにもう寂しくなったか」

独りごちて自嘲気味に笑う。
ユフィと付き合い始めて一年になる。
日を追うごとにユフィへの愛しさは募っていくのを自覚していたが、まさか夢に見る程恋しく思っていたとは。

「昼頃に電話するか」

一週間ぶりにあの元気で少し生意気な声が聞きたい。
夢では足りないし、そもそも途中から声が小さくなっていった。
今度はしっかり聞きたい。
電話越しというのが少し残念だが贅沢は言ってられない。
お昼の楽しみを胸にヴィンセントはベッドから降りると一人朝の支度を始めるのだった。

2022/08/11(Thu) 00:09 

◆しかしながら 

お昼のラッシュの時間を過ぎたセブンスヘブン。
そこではユフィが少し遅めのランチを楽しんでいた。
今日のランチは目玉焼きハンバーグ、ポテトマシマシ。
ポテトにハンバーグにかかっていたソースを絡めて食べて、頬に手を当ててその美味しさに蕩けていると不意にスマホに着信が入った。

「おろ?」

フォークを置いてディスプレイを確認すると、珍しいその名前にほんの少し驚きながら『応答』のボタンを押す。
緊急事態だろうか?

「もしも〜し?どしたの〜?」

『ユフィか。今大丈夫か?』

「セブンスヘブンでご飯食べてるから駄目〜」

『そうか。じゃあな』

「あーもーじょーだんだって!それよかヴィンセントの方からかけてくるなんて珍しいじゃん。なんかあったの?緊急事態?」

『いや・・・任務は順調だ。時間が出来て今は宿で休憩をしている・・・ただ・・・』

「ただ?」

『・・・・・・何となく、お前の声が聴きたくなった』

当たり前のように紡がれるドラマのようなセリフに唇の端が持ち上がるのを抑えきれずにプルプルと震える。
こっちをチラリと見たティファがクスッと笑った。
きっと自分の顔が赤くなっているから笑ったのだろう。
しかしやられてばかりなのは悔しい。
ユフィは嬉しさで声を震わせながらも反撃に出た。

「ふ、ふ〜ん?そう?ユフィちゃんってば美声だもんね〜?聞きたくなっちゃうのも仕方ないか〜。ま、まぁ特別にこの美声で良い事言ってあげるよ!」

『良い事?』

「ユフィちゃんは今日もいつもと変わらずヴィンセントの事を愛してま〜す!」

羞恥心を誤魔化すように片手を腰に当てて天井を見上げながら半分おどけたように言い放つ。
するとキッチンの中のティファは堪らずに噴き出して小さく笑い始めた。
電話口のヴィンセントはというと、少し間をおいてから「フッ、そうか」と苦笑交じりに溢した。
けれどその声音に照れが混じっていたのをユフィは聞き逃さなかった。

2022/06/12(Sun) 12:57 

◆こどもの日 

ティーダ「イェーイ!今日はこどもの日!!」

ジタン「こどもの日にちなんだご馳走を用意したぜ!」

ティーダ「ケーキ!」

ジタン「フライトチキン&ポテト!」

エース「昆布茶!」

スコール「パン」

クラウド「エースいきなり渋すぎるしスコールは適当過ぎるだろ」

ティーダ「細かい事は気にすんなって!」

エース「ティーダの言う通りだ、こども日を思う存分楽しもう」

クラウド「俺達もう大人の部類だろ」

ジタン「心は永遠に子供のままだ!」

クラウド「クソガキの間違いだろ」

ティーダ「へいへい分かりましたよ。じゃあ大人らしく振舞うッス」

ジタン「子供の頃ってぇとこんなに好きな物ほいほい買えなかったよなー」

ティーダ「そうそう、どれか一つ!とかな」

スコール「大人になると嫌な事ばかりだがこうして財力を手にすれば好きな物が買える」

エース「その点だけは大人も捨てたものじゃないな」

クラウド「物凄く現実的で暗い話をするな」

2022/05/05(Thu) 16:01 

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