振り

□恋愛解法
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よかった。
素直に問題を解きはじめた。


私は田島の黒いシャーペンがサラサラ動くのを見ていた。



(そっかぁ、好きな人いたんかー)


(告白なんてする間もなく終わったなぁ…)

そんな胸のモヤモヤとした感情とは裏腹に、



さっきまでは書いては消しての連続だった田島の解答が
比べものにならないくらいサラサラいくのにビックリした。


(あれー?さっき間違えたヤツと似てるの出したんだけどなぁ…

あってるあってる…)


と、思ったら、


ピタッとシャーペンが止まった。



不思議に思って


「たじー?あってるよ?」


顔をあげると、





ちゅっ


一瞬、田島の顔が目の前にあって、すぐに離れた。

(い、今の、きす…?)


「え、……ぇえっ?!」

ガタッと立ち上がる私に、

田島はシャーペンを置いて難しい顔をした。


さっきまでの問題が分からない時の表情だ。


「…もー、解き方わかんねー」


「な…なんの?」


それより何故キスを…?!




「お前が何考えてんのか、わかんねー…。

俺、お前が好きな人ーって言おうと思ったのにさ…



だから、“きせーじじつ”作ろうと思って、キスした!

ゲンミツに!」


きせーじじつって

なんて難しい言葉を…!


「…田島、が私が好き?」


「おう!お前もだろ?」

「うん、好き…!」


「へへっ。
じゃーもっかいチューしよ!」


まぁいっか。


まぁいいよね!


なんかまだ混乱してるけど、


両思い?だった訳だし!


「今日は、もう一回だけね…!」

「えーっ」




地獄のテスト期間中の

幸せなハプニング


(神様ありがとう!)(神様じゃなくて、俺が頑張ったの!)(たじーありがとう!大好き!)



*end*
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