振り

□大好きを添えて
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今、アタシはものすごく困っています。




今朝


バカみたいなウソみたいな、

それでいて


ユメみたいなメールが、




好きな人から届きました。







『今日告白するから、部活終わったら待ってて』

『今日大事な話するから、部活終わったら待ってて』


似たような文章が2通、

続けざまに届いていた。



ぶっちゃけ、見た瞬間いろんなイミで吹き出した。





まず、コイツバカじゃねーっていうのと



焦って“告白”ってうっちゃったんだ、
で、訂正したんだ
可愛いなっていうのと



今朝の、挨拶も寝たフリでごまかされて目も合わせてくれないのは
恥ずかしいからなのかな


っていうのと。




ああ、ホントにホントに笑っちゃうな。
利央のそういうとこ、好きなんだよな。





『そーゆートコ、好き。』


迷って迷って、送った一文。


授業中だけど、前二つ前の右の席のアイツは眠そうだから丁度いい。

アイツはちょっとびっくりしてから、こっそり、受信したケータイを開く。





ガタッ

(え、)


アイツは立ち上がって振り返った。
…それもすごい勢いで。



(おいおい、兄さん、注目浴びてるよ)


「なんで先に言っちゃうんだよ!」


私は目を反らした。
え、誰に言ってるの?何のこと?みたいな。



静かだった教室は少しざわついて



「仲沢〜〜……授業中なんだが。」
「あっ、スンマセン…」

利央のあまりの勢いにたじろぎながら、先生が注意した。


利央が席につくと授業再開。
アイツ注意された癖に、メール送ってきた。




『あとで言うけど、オレの方が好きだから』


(、コイツほんとにバカ。)

『言っちゃってんじゃん、バーカ』



最後の一行のために、七回くらいスクロールボタンを押して
余白を作った。

そして、返信。



利央のヤツ、

部活の後なんて言うつもりなんだろ。

私は一人、くすっと笑った。




“大好き”を添えて




091129
 

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