Others

□二人で行こうや
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「あり。めずらしー奴に会うな。」



間延びする、後ろからかけられた声に見覚えのある女が振り返った。


「…!銀時か…!」



月詠は目を見開いて白髪の侍を見、


真顔に戻っていつものように憎まれ口を叩いた。



「地上(うえ)に出てくる度にお主に会うとは……

実はわっちのファンか。追っかけか。」
「なわけあるか。
そいつぁ、うちの従業員だよ。」


銀時は、嫌そうな顔をして従業員―新八の話をした。

すると月詠はしたり顔で相槌をうつ。


「ああ!チャイナ娘か。あの年ごろはそういう道に走りやすいからな。」


「神楽は花より団子でね。
オタクメガネの方だ。銀サンは心配です。」

「そうか。」

冗談めいて遠くを見て話す銀時に、クスリと頷いた。



自然と並んで歩き出し、

他愛ない会話を続ける。


銀時は月詠の腕に抱えられた荷物を見て言った。

「今日は何の用だ?買い出しか」


と、手を差し出された月詠は眉をひそめた。


「ああ、そんなところだが……
なんだその手は。やらんぞ。」


と答えたので、銀時は面倒そうに頭を掻いた。


「お前な、人が重そうだから持ってやろうっていう好意を少しは汲めよ。

俺の優しさ、分かりませんかねぇ?」


月詠は感心したように、嬉々として荷物を渡した。


「ほぉ…“じぇんとる”だな…!
結構重いぞ。」

「んなことねぇ。」


月詠は前を向いて話す銀時を横目に、

荷物で痺れた手をブラブラしながらポツリとこぼす。

「しかし…銀時がそんな事を言うのは気持ち悪い。」
「…おいおーい、持たせといてちと酷くありませんかァ?」

「ところで、」

「無視かよ!」


今度は月詠が前を向いて、銀時が月詠を向いて話した。
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