オリジナル

□月の戯言
1ページ/1ページ

あの頃、本当は君が好きだったよ

なんて言って あいつは俺から目を逸らした

寂しげな目と微かに微笑むその唇に

俺は目眩さえ覚えて

何も言わずに二人して立ち尽くした



あの頃 俺を目で追ったあいつと

頑なに他人を寄せ付けなかった俺との

すれ違い続けた幼稚な恋は

消化されることなく昇華してしまった


そんな二人の秘め事を



ある夜のいかれた月だけが見ている

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ