幽遊白書 飛躯

□夜の過ごし方
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ある魔界の夜。
パトロールを終えた飛影はいつもどおり躯の部屋に帰ってきた。
音を極力立てないのは盗賊時代に身についてしまった彼の習性。
とはいえ別に気配は絶っていないので躯は飛影が来ることにもちろん気づいている。
「お疲れ。今日は何人拾った?」
「知らん。俺は寝ていた。」
「いい加減真面目にやらないと希淋のヤツに殺されるぞ。」
「フン。あんなヤツには殺されん。」
飛影は寝台に近づき、躯の隣に横たわった。
「寝たんだろ?まだ寝るのか」
枕の位置を弄って本格的に寝る準備を整えている飛影に、ややあきれた表情で躯が言った。
「寝過ぎじゃねえか?」
「別に起きている必要もないだろう?」
「いやそうだけどさ。」
「まあいい。お前も寝ろ。」
そう言うが早いか、飛影は躯の手を引っ張って隣に横たわらせる 。
「強引なやつめ」
「顔がずいぶんと嬉しそうだが?」
言いながら、飛影は躯にタオルケットをかけてやる。
躯はクスリと微笑んだ。
「ま、イヤじゃないからな。」


百足は今夜も広い魔界を縦横無尽に走り続けている。
その振動を受けながら、飛影は隣の柔らかい感触に安心して目を閉じた。

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