戦国×現代novel
□一輪の花2
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「伊達に歯向かった奴、全員皆殺しにしろ。降伏も許すな」
それは、非常な決断だった。
「マジっすか・・・?」
「それはちょっと・・・ひどすぎますよ!筆頭!!」
口々に文句を言う家臣たち。
しかし、政宗はそれを制した。
「・・・ずっと前から言ってるだろ。戦場に正義も悪もねえ。
・・・生きるか死ぬか。それだけだ」
政宗のその覇気に、家臣は背筋が凍りついた。
一輪の花2
「あの、どこに行ってるのでござりますか?」
「・・・小手森城だ」
「小手森城?」
「ああ。その城をオレ達の軍勢と政宗様の軍勢で挟撃する」
「・・・そうでござるか」
小十郎が丁寧に教えてくれるが、頭の固い幸村には何も理解できなかった。
しかし、ここが戦国時代ということは理解できた。
それではやはり、あの眼帯をしていて歳が近そうなのに上から目線で小生意気でカッコいいけど目つきが怖い青年は、伊達政宗なのだろう。
「・・・写真と全然違うでござる・・・」
「何か言ったか?」
「いえ!何も・・・」
その独り言は普通に大きな声だったので、ここにいる伊達軍全員に聞こえていたことだろう。
「よし、お前等!これから政宗様の指示通り、小手森城を挟撃する!その上で、政宗様からのご命令だ!
伊達に歯向かった奴、全員皆殺しにしろ!降伏も許すんじゃねえ!」
その言葉に、やはり家臣は驚いた。
しかし、主の政宗の命ということもあり、それを聞き入れた。
「真田。てめーはそこで待ってろ。自分の身は自分で護れよ」
「はい!ありがとうございました!!」
小十郎の馬から降りた幸村は、小十郎に深々と礼をし、見送った。
「伊達に歯向かったもの全員皆殺しとは・・・非道でござる」
先程小十郎が言った言葉を思い出し、そう呟いた。