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□蒼い竜と紅い虎4
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最近、よく夢を見る。
天気は雨。
場所はあの桜の木。
いるのは、自分と愛しい人。
その愛しい人は、身体中から血があふれ出て、息をするのも苦しそうだった。
そして、息も絶え絶えに、こう言うのだ。
「There is always my mind very much with you even though time passes.
I Love You…」
そういい終えると、その人は静かに眠っていった。
オレはただ、泣き叫ぶだけしかできなかった。
蒼い竜と紅い虎4
「っ!!」
幸村は思わず汗だくで起き上がった。
「はあっ…はあっ…!」
心なしか、その息も荒い。
「夢…。そうか。夢、か…」
幸村はそう自分に言い聞かせ、それでも不安だから携帯を手に取った。
そして、電話する。
『…もしもし』
数秒たって電話に応じた人物は、物凄く不機嫌だった。
「ま、政宗、殿…」
『ああ?こんな朝早くから起こすんじゃねえよ』
面倒くさがりの政宗のことだから、きっと風呂から上がって、上半身裸にズボンを履いただけの格好で寝ていたのだろう。
「あの…」
『何だ?言いたいことがあるなら早く言え。あと5時間は寝れる』
「そっ!そんなに寝てはいけませぬ!」
幸村は政宗の発言に突っ込んだ。
「…あの、政宗殿。生きておられまするな」
『…?見ての通りピンピンしてるが。あ、見えねえな』
「怪我なども…しておられないでござるな?」
『だからピンピンしてるって!どうしたんだ?』
「…夢を、見たのでござる」
『夢だぁ?』
政宗は何だそれ、というように聞き返した。
「はい。…見心地が悪かったので…少し不安になっただけでござる。すみませぬ」
『…別に、そんだけなら構わねえが…。じゃあもう一回寝るから、また学校でな』
「はい。では」
電話を切る。
政宗がピンピンしていたことにほっとして、思わずまた倒れこんでしまった。
「…夢、ね」
政宗はそのあと、自分の手を見つめて呟いた。
「夢で終わりゃ、苦労しねえさ…」