戦国×現代novel

□一輪の花7
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政宗は、驚いた。

なぜなら、自分たちに一揆を起こそうとしている農民のトップが、まだ年端もいかない、小さな少女だったのだから。

そして、政宗は悔やんだ。


ああ、自分はこんな小さな少女も護れていなかったのか、と。



一輪の花7



「お前が、この農村の大将か?」

「お前さんたち、見ねえ顔だべな」

「ああ、俺たちはーその、あれだ。たまたまここまでやってきた観光客みてえなモンでな。此処らへんブラブラ歩いてたら、突然後ろの奴らが襲いかかってきたんだよ。
確かに勝手にこの村に入ってきた俺らも悪いのかもしれねえが、いくらなんでも襲い掛かってくるのはそっちが悪いだろ?
しかもここらへんじゃ、農民は武器なんか持っちゃ駄目なんじゃなかったか?」

つらつらつらと、政宗は事情を説明する。

「別に俺たちはこの村がどうなろうと関係ねえからいいんだけどよ。
そこらの大名に言うのもあれだから、とりあえず大将と話させとっつったら出てきたのが嬢ちゃんってわけだ」

「そうだべか…。それは、皆が悪いことをしただべな」

「あーいや、もう気にしてねえよ。まあ、お前らは一揆を起こすほど苦しいってことだよな?少し事情を聞かせてくれねえか?」

そして、その小さい少女の目線に合わせるかのようにしゃがみこんだ。

果たして、一家の王がそんなことをしていいのだろうか。
幸村にはよくわからなかった。

「でも、おめえさんたちには関係のないことだべ?」

「いや、こういう状況を見ると放っておけなくてな…。俺のいた村も、苦しかったからよ」

「おめえさんたちも、苦しかっただべか?」

「ああ。お前らを見ると昔のこと思い出してよ、少しでも助けになりてえんだ。
そうだ、嬢ちゃん。名前は何てんだ?」

「オラか?オラ…いつきって言うだ」

「いつきか。まず、事情をわかりやすく説明してくれねえか?」




「最近、生活が苦しくなってきてな、それで、オラたち、近くのおさむらいに年貢を少なくしてくれって、お願いしに行ったべ。
そしたら、そのおさむらいは、農民が口を出すなって、聞く耳も持ってくれなくて…。
こうなったら、行動するしかねえって思ってな、こうやって、そのおさむらいんとこから武器盗んで、一揆しかけようと思ったんだべ」

「そうか…。その侍ってのは向こうのほうの奴等か?」

「そうだべ」

―――あそこにはまだ攻め入ってねえからな…。
―――近々領土を獲りに行こうとは思ってたが、まさかこんな手荒なことしてんのか…。
―――南奥の奴らは何考えてんのかイマイチわかんねえな。




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