戦国×現代novel

□一輪の花1
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「はあ・・・疲れたでござる・・・」

そして陽も暮れそうな時間に、幸村はようやく帰路についた。

「早く帰らなければ、お館様に叱られてしまう・・・」

そう言って駆け足になったとき。


「・・・綺麗だな・・・」

家の近くの川に差し掛かり、その川がやけに輝いていたのだ。
幸村は、少し見ていようと、その川に近づいたのだ。

そのとき。

「うわっ!!」

石に躓き、こけてしまった。
そして当然のように、川に落ちてしまったのだ。

(またやってしまった・・・)

喧嘩や稽古以外は、基本的にドジな幸村はまた後悔した。
きっとびしょ濡れだろう、そう思った幸村だが、どこか違和感を感じた。

(この川・・・そんなに深くないのに・・・)

この川は、幸村の膝くらいまでの深さなのだ。しかし、幸村はその川にどんどん沈んでいった。

(むしろ、ここ・・・川ではない・・・)

水に浸かっているような苦しさはない。
むしろ、体が重くなっていく。
頭も痛い。
どこへいくんだろうか。

幸村がそう思っていたとき、景色が見えた。
それは、夕焼け空の、上だった。


「なっ・・・・・・!!」

幸村は、当然のごとく落下した。

(このままでは死んでしまうではないかぁ!!)

そのとき、地上に青年が見えた。
自分と同じ歳くらいの青年だった。なぜか、今のご時世、袴を着ていたが。
でも、助けてもらおう。
幸村はそう思って声の限り叫んだ。

「そこのお方ぁぁぁ!!助けてくだされぇぇぇ!!!!!」

「・・・AH?」

そして、その青年が振り向いたそのとき。
幸村は、青年目掛けて落ちていった。


「いったたた・・・・・・」

幸村は頭を擦りながら、起き上がった。

「ここ・・・どこでござるか?」

幸村は辺りを見渡す。
見たこともない広い屋敷。


「・・・おい、どけ」

「へ?」

下から声がしたので、その方を見ると、青年が倒れていた。
そして、ちょうど幸村が押し倒しているような形になっていたのだ。

「わぁぁぁぁ!!すみませぬ!!!!」

幸村は慌てて飛びのくと、慌てて頭を下げた。

「・・・Shit」

その青年は舌打ちをして起き上がった。
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