戦国×現代novel

□一輪の花2
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ふと、話し声が聞こえたので、その方を向いた。

この時代でいう、農民だろうか。
その農民がコソコソ話し合っていたのだ。

「伊達家の当主・・・去年替わったばかりばかりだが・・・あの当主、大丈夫なのだろうか」

「ああ・・・その殿様、まだ19なのだろう?前の殿様は温厚で優しいお方だったが・・・」

「今の軍勢、見たか?あのフザけた軍勢は何なんだ・・・。今の殿で、奥州は大丈夫なのだろうか・・・」

「そのうち、織田の軍勢にすぐ占拠されてしまうのでは・・・」

それは、政宗の悪口らしきものを語っていたらしい。
農民も農民で、先が不安らしい。

「だいたい、隻眼の武将など、聞いたことがない」

「止めておけ。右目のことに触れたら殺されるぞ」

「あの・・・!!」

その農民たちの話を黙って聞いてられず、幸村は思わず首を突っ込んだ。

「人を、見かけで判断するのはよくないでござる!人は見かけではなく、中身!
どんなに恐ろしいお方でも、心のうちは優しい心を持っておられるかもしれぬ!」

幸村はその農民たちに必死で語りかけるが、農民は怪訝そうに幸村を見ていた。

「でも、アンタ・・・。さっき伊達の馬に乗ってたじゃねえか」

「オレ等農民の暮らしを苦しくしてんのは、全部侍だ。侍に言われたくねえ」

幸村はそういう農民に、少し考えこう言った。

「オレは、武士などではないが・・・」

「アンタ、武士じゃねえのか・・・?」

「まさか、生贄にでもされているのか?」

「何とひどい軍勢だ・・・!」

(火に油を注いでしまった!)

幸村はそう思ったが、何とか誤解をとき、

「ならば、オレがその殿に直接申そう!農民の意見を、殿のお耳にしっかりと刻み込むのだ!」

「そんなことができるのか?」

「・・・自信はないが・・・多分大丈夫だ!何とかしてくれるでござる!」

幸村はそう言って笑った。
笑えば、どうにかなると考えることができた。
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