戦国×現代novel
□一輪の花3
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政宗が舌打ちをして、この忍を見る。
「さあ、コイツをどうしようかな・・・」
政宗が何か考え事をしながら、呟いた。
「最近多いんだ。オレの部屋に忍び込んで暗殺の機を伺ってるのか知らねえが、これでやっと正体が分かったぜ」
政宗が「出て来い」と呟く。
すると、どこからともなく忍と思われる男が現れた。
「甲斐と越後の様子を探って来い。気づかれそうになったらそのままこっちに戻れ」
「はっ」
そう言って、忍は消えた。
「何をなさるおつもりでござるか?」
「甲斐を攻める」
「はい?」
「武田を攻める。奥州を荒らしやがったんだ。それ相応のお返しをさせてもらうぜ、甲斐の虎!」
政宗は楽しそうに言った。
「オレも、お供いたす!」
「ったりめーだ。オレに仕えるっつったんだから、最低限の仕事はしろよ」
「承知!」
幸村ははっきりとそう返事した。
「・・・あんだけ馬乗る練習したんだ。もうひとりで乗れるようになれよ」
「・・・しょ、承知・・・」
幸村は自信なさげにそう呟いた。
幸村が戦国時代にとばされて伊達家に居候することになってから、幸村は乗馬の練習をさせられた。
それも、政宗直々の指導で。
馬なんて乗るのがはじめてな幸村にとって、とても一日で覚えるのは困難だった。
しかし、幸村曰くドSの政宗は、「今日中に乗れなかったら晩飯抜きだ」という鬼の一言を幸村に残した。
と言うわけで、死に物狂いで練習した幸村は何とか乗れるようになったのだ。
「でもお前あれだよな・・・。陣羽織とかねえしな・・・。オレの古着だったらあるけど、お前絶対蒼似合わねえもんな・・・」
「な、何とかこれで乗り越えてみせるでござる!」
幸村は制服をバサバサ叩き、大丈夫とアピールしてみせた。
「そうか?武田だから鉄砲玉は出てこねーと思うが・・・無理すんじゃねえぞ」
「大丈夫でござる!オレにはこの槍がある故!」
「言っとくが、槍使いは間合い取られちゃダメなんだぞ」
「は?」
「槍なんて、んなもんオメー、間合い詰められたらどうすんだよ。カタナシじゃねえか」
「う・・・肝に銘じておくでござる」