戦国×現代novel

□一輪の花3
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「戦の会議みてーなモンだ。まあ、要するに作戦会議みてーな感じだな」

「作戦会議でござるか!何か凄いでござるな!」

「わかったらとっとと来い」

「え?オレも参加でござるか?」

「当たり前だろ。アンタも伊達軍だ」

政宗はそれだけ言うと、部屋から出て行った。

「伊達殿・・・。意外とお優しいのだな・・・」

そういえば、乗馬のときもできるまでずっと付きっきりで教えていてくれた。
その夜、自分の仕事を必死でこなしていたような気がする。

「・・・何か、あの方のことがわかってきたような気がする・・・」

幸村がどことなくそう呟くと、政宗の声が響き渡った。

「いつまでボケっとしてんだ!?お前方向音痴なんだからオレについてこねーと迷子になるぞ!」

「あ、は、はい!!ってオレは方向音痴ではないでござる!!まだどこに何があるか把握してないだけで・・・!」

「Shut Up!方向音痴は黙ってろ」

「・・・やっぱり意地悪でござるぅぅ!!!」

幸村はそう叫びながら政宗のあとをついていった。


それから半刻ほどたったとき。
大広間に伊達軍が一斉に集まっていた。

「・・・何か皆目つきが怖いでござる・・・」

「心配するな。すぐ慣れる」

伊達軍の目つきに気圧され、カチカチになっている幸村に小十郎がそう言った。

「よし!全員揃ったな」

「はい」

「OK!それでは、軍議を始める!」

「「YEAH――――ッ!!!」」

政宗のその声と共に、伊達の家臣が一斉に喜びだす。

「筆頭!今回はどこを攻めるんすか!?」

「もう一気に織田ですか?」

そして、口々に言う家臣たち。

「Shut Up!黙って聞きやがれ!」

しかし、そんな政宗の怒号に家臣は一気に静まり返った。

「今回は川中島だ。上杉と武田を攻める」

「上杉と武田ですか?」

「何故またそんな大物を一気に!」

そして今度は文句を言い出す家臣。

「・・・言いたい放題でござるな・・・」

「まあ、言いたい気持ちも分からんでもないがな・・・」

その影で幸村と小十郎が呟く。

「あの方の考えることはいつも突拍子もないことだからな」

「いつもそんな大胆でござるのか・・・」

「あの皆殺しも正直驚いたが、武田と上杉を攻めるとは・・・」

小十郎がため息をつく。
そのため息で、ああ、苦労しているんだなと幸村は分かった。
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