戦国×現代novel

□一輪の花4
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伊達軍は、春日山城に着いた。

「・・・上杉軍はもういねえな・・・」

政宗は春日山城の様子を見て、そう言った。

「じゃあ筆頭!春日山を攻めますか?」

「・・・いや、春日山を攻めんのは後だ」

家臣の問いに、政宗はそう答えた。

「・・・へ・・・?」

「言ったろ。上杉軍は、もういねえ」

政宗は「上杉軍は」を強調して言った。
小十郎以外の家臣は訳がわからず、首をかしげた。
もちろん、その中に幸村も入っていたのは言うまでもない。

「・・・仕方ねえな・・・。今からそれを証明してやるよ」

政宗はため息をつきながら言うと、懐から短刀を取り出した。
そんなものを何に使うのか、と家臣の誰もが思ったそのとき。

ビュッ!

政宗は、それを大木の方に投げつけた。
その短刀は、大木の中に消えていった。

「・・・Hey!隠れてないで、出てきたらどうだ?」

政宗は誰もいない大木に向かって声をかけた。

「・・・ふーん。さっすがだね、独眼竜。まさか、バレてるとは思わなかったよ」

「HA!あんな殺気ばらまいてる奴に言われたかねえな」

政宗は、出てきた人物に何ら動揺もせずに言った。
その人物は、さっき政宗が投げた短刀を噛んでいた。

「・・・てめえ、忍だな?どこの忍だ、名乗れ」

「オレ様は猿飛佐助。武田軍の真田忍隊の長。以後お見知りおきを、独眼竜」

「・・・HA!てめえが噂の真田忍隊の長か。想像と違うな。もっとジジイだと思ってたぜ」

「そりゃちょっとひどくな〜い?オレ様まだ23歳なんだけどー」

「・・・Shit!読めねえ」

政宗は佐助の飄々とした態度にムカつき、舌打ちをした。

「そんな武田のイヌが、ここまで何の用だ?今甲斐の虎と軍神はやりあってんじゃねえのかよ?
主護らなくてもいいのか?」

「大将の命令でね。あんたら伊達軍が、春日山に攻めてくるって聞いてね。
大将と軍神の勝負の邪魔をさせないために、オレ様はあんたらをここで止めなきゃいけないってわけ」

「・・・チ。甲斐の虎にはお見通しって訳か。しょうがねえ」
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