戦国×現代novel
□一輪の花4
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「・・・いいの?あいつ等、行っちゃったけど」
「構わぬ!オレの仕事は、貴殿を倒すこと!」
幸村は2本の槍を構え、その刃を佐助に向けた。
「貴殿はどうやらオレの知っている佐助とは違うようだ。ならば、手加減はいたさぬ!」
「手加減なんてしなくていいよー。どうせ死ぬのはあんたなんだからさー」
佐助は笑顔でそう言いのけた。
「猿飛佐助!いざ尋常に、勝負っ!!」
そう言うと、幸村は佐助に向かっていった。
「・・・よろしいのですか?政宗様」
小十郎の問いに政宗は耳を傾けた。
「・・・ああ。アイツが自分からやるっつったんだからな」
政宗は前を見ながらそう答えた。
「しかし、あのものはこの時代のものでは・・・」
「・・・アイツの死に場所はここじゃねえ。この時代でもねえ。アイツの死に場所は、アイツの世界だ。
そのために、なんとしてもこの時代で生き延びてもらう。それがわかってたらいい」
「・・・はっ」
小十郎も、最終的には納得して、それ以上問いかけることはなかった。
「いいか!てめーら!甲斐の虎と越後の軍神の首、獲るぜ!!」
「YEAR――――!!!」
そうして、伊達軍は川中島へと進んでいった。
「くっ・・・・・・!」
そのころ、幸村は佐助相手に苦戦していた。
政宗の言うとおり、佐助は何でもできる忍で、全く隙がなかった。
「どしたの?こんなもん?」
「くっ・・・!まだまだぁっ!!!」
幸村は、まだまだ余裕そうな佐助に何故か少しイラッとしながら槍を振り回した。
佐助は全く表情も変えず、汗一つかかず、手裏剣を構えていた。
(佐助と全く変わらぬ・・・!あの佐助と、オレの時代の佐助と・・・何ら変わらぬ・・・!)
一方の幸村は苦悶の表情を浮かべ、顔に汗を沢山浮かべていた。