□蒼い竜と紅い虎1
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「けど?」

佐助が聞き返す。
元親が、顔を赤らめて言った。


「毛利がっ…可愛すぎるっ…!!」


・・・・・・。

一瞬の沈黙。
その後。

「てめーふざけてんじゃねえぞゴルァァ!!」

「かようなハレンチなこと某が認めぬぅぅ!!」

何とも喧嘩っ早いカップル2人が元親に蹴りかかった。

「てめーそれでもアイツのこと好きなのか、AH!?」

「ハレンチでござるハレンチでござる!!」

「ちょ、いたっ!いでえええ!!」

「死ぬ死ぬ!!チカちゃんが死ぬ!!」

「ハレンチハレンチハレンチハレンチ」

「旦那は黙っててぇぇ!!」

「…はあ」

途端に騒がしくなった教室で、小十郎は一人ため息をついた。
半兵衛はもう関わることもしたくないらしく、一人で本を読んでいた。
一方、慶次は。

「恋はいいねえ!な、夢吉!」

ペットの猿に同意を求めていた。


「いいか、元親ァ!!」

政宗が木刀でびしっと元親を指す。

「今毛利は危ねえかもしれねえんだぞ?そんなときに何呑気にしてやがる!
男なら惚れたやつの一人くらい、死ぬ気で護ってみろ!それが粋って奴だ」

「政宗…」

すでに皆に蹴られてボロボロの元親は、いつの間にか真剣になった政宗を見た。

「できねえ、なんて野暮なこと言うんじゃねえぜ?お前にしかできねえよ。って、お前が言ったんだろうが」

「…ああ」

元親は、政宗の言葉に我を取り戻し、立ち上がった。


「…へえ、政宗君の言った言葉ですぐに我に帰ったか…」

「…ああ見えて、政宗様はやるときはしっかりなされるお方だ。あの方がいつも仰っているように」

「言ってる…?」

半兵衛が本を閉じ、今の光景を見たあと、小十郎を見た。

「ああ。独眼竜は伊達じゃねえ、とな」

「…ふふ。さすが秀吉を倒した男だね。興味深い男だ、伊達政宗。
…政宗君をあんな男にした君にも興味があるけどね、片倉君」

「…ちっ」

小十郎は読めない半兵衛に舌打ちをした。
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