□蒼い竜と紅い虎4
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政宗はまたしも大きな声を出して全員に見られた。

「…Sorry」

さすがの政宗も謝って、咳払いをした。

「何で明日なのにいきなり今日決めるんだよ!」

「オレだって知るか!いきなり武田のオッサンに言われたんだよ!」

「何でこのTimingで言うんだよ!」

「しかもあの球技大会、一人でもサボりが出た場合即失格なんだよ!何とか出るだけでいいから出ろって!」

「…All Right.出るだけ出りゃいいんだろ…」

政宗は呆れたように呟いた。
そして、内心ヤバイとも思っていた。
今まで誰にも明かしていない、弱点があるのだ。
小十郎ですら、知っているかもわからない。
小学校のときに気づいて、それからボールに触るのをやめた。

完璧な人間などこの世にいない。
全くもってその通りだ。
成績優秀、スポーツ万能といわれる政宗にだって、苦手なことはある。

政宗は心からのため息をつき、また煙草に手を出した。


「あー…球技大会とかだっりい…」

そして、昼休み。
政宗は空を見ながらそう呟いた。

「何で?独眼竜ドッジなんだからそんな大丈夫でしょ?」

「オレは球技が嫌いなんだよ…」

政宗はそう呟いた。

「球技?」

「球技っつーか…狙撃系が…」

「狙撃?」

「まあ、弓道とかは出来るけどな…」

「…アンタ、一体何者だ…」

佐助は思わず呟いた。

「人間です」

政宗は普通にそう答えた。

「誰だって知ってるわ」

佐助も思わず突っ込んだ。

「でも優勝したら、あれでしょ?近くの焼肉屋さん一ヶ月タダ権もらえるんでしょ?」

「よし頑張ろうか!」

慶次が言った言葉にすぐさま政宗は反応した。

「何だその態度の急変っぷり…」

佐助は思わずため息をついた。

「元親!オレはひたすら逃げまくるから、お前頑張ってぶっ倒せ!」

「一人じゃ無理だっつの!」

「じゃあ、いつものようにオレの背中を護れ!」

「それ竜の右目の仕事――っ!!」

元親は自分に無理難題を言う政宗にため息をついた。
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