□蒼い竜と紅い虎4
4ページ/9ページ



そして、迎えた球技大会当日。

「うおおおお――!!!燃えてきたでござる!!」

幸村は紅い鉢巻を額に巻き、いつものようにそう言っていた。

「旦那…熱くなりすぎだって」

「燃えよ!我が魂!!燃えよ!燃え滾れ!!!」

「はあ…」

佐助は聞く耳を持たない幸村にため息をついた。


「おっす、佐助」

「あ、おはようチカちゃん」

後ろからやってきた元親に挨拶をする佐助。

「随分と元気がいいこったな、幸村の奴」

そう言って、元親の後ろからゆっくり歩いてきたのは政宗だった。

「あ、独眼竜。来るの早いじゃん」

「まあな。いきなり小十郎に起こされて『早く球技大会行って来い』って家摘み出された」

寝不足気味にそう呟く。

「あ、政宗殿、おはようございます!」

「Good Morning.随分と元気がいいな」

「はい!今日は球技大会でござる故、某、全力でいたそうと思っている所存!」

「…やたら気合入ってんな」

「勿論!勝てたら焼肉一ヶ月タダですぞ!?頑張らぬわけにはいかぬ!!」

そう言って、幸村の目がキラキラ光る。
その気持ちは、まあやたら食う政宗にもわかる。食欲がないときは全然食べないが。
しかし、どうも球技ってのが気が気でない。

「そういや、毛利とか前田とか竹中はどうすんだ?」

政宗が元親にそう聞いた時。


「我を呼んだか」

「うおっ!!」

いきなり、どこからともなく元就の声が聞こえてきた。
どこから来たのか見ると、元就は大きな木の幹に座っていた。

「も、毛利…!そんなとこにいたのか…!」

これには恋人である元親もビックリして元就をまじまじと見つめた。

「毛利、お前は球技大会何に出るんだ?」

政宗が元就にそう問いかける。

「我は何も出ぬ」

しかし、元就の答えは意外なもので、政宗は少し驚いた。

「でも、全員出席じゃねえと失格になるんじゃねえの?」

「我は生徒会長ぞ。生徒会長は、この行事のときこそ学園の治安に目を光らせておかなければならぬのだ。
おめおめとそんな下らぬものに出席する暇はない」

元就が木から降りて、華麗に着地する。

「まあ、不正行為で失格とならぬようせんぜい頑張るとよい。生徒会の目は厳しいからな、覚悟せよ」

そういうと、元就はどこかへ消えていってしまった。


「…食えねえ奴だな…」

元就のいなくなった空間で、政宗はそう呟いた。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ