□蒼い竜と紅い虎5
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何か、視線を感じた。
うちの教室の方だな、っていうことは、アイツが来たな?

ウチの教室のベランダ。
そこの手すりにもたれて、煙草吸ってる奴。


独眼竜・伊達政宗。


アイツだよーアイツが独眼竜ですよ。
見てよあの目つきの悪さ。
しかもそれに隻眼ってのもあって、すんごい迫力あるんだよ…。
まだ未成年なのにヘビースモーカーだし。
あと…服装乱れてるし。

…そんなにいうことない気もするけど。
とりあえず、何かどこぞのヤンキーみたいな格好して、ヤンキーよりも恐ろしいヤンキーなんだよね。

見てくださいよ、あの腰の六本の刀。
偽者じゃないんですよ、本物なんですよ、あの刀。
しかも6本もどうやって使うんだよって思わない?…ま、それはまた今度。

…え?普通こんなん持ってたら銃刀法違反で逮捕されないってか?
甘いね。最初に言ったでしょ?
ウチの学校の普通は一般人の普通とは違うの。
ウチの普通は一般人の異常。これ重要。


ウチの学校は、オレ様たちの入学した年から異常な奴ばかりが集まるようになった。
その筆頭が独眼竜、チカちゃん、ナリちゃん、前田の風来坊の所謂ヤンキー中の卒業生。
まあ最近ではオレ様と真田の旦那もその中に入ってるみたいですけど。
だからウチの学校では、武器を持ってもいいことになった。
だから此処の生徒のほとんどは、何かしら武器を隠し持ってる。
かと思えば、独眼竜みたいに武器を堂々と持ってる奴もいるし、素手で戦う奴もいる。
ホント、オレ様たち社会に出て大丈夫なのかな…。


ま、というわけで独眼竜は上からオレ様たちを高みの見物してるわけだけど、実際はほとんどオレ様たちなんか見ていない。
アイツが見てるのは、いつも真田の旦那だから。
いつもはまるで刃物みたいな目つきしてるくせに、真田の旦那の前ではそれが嘘みたいに優しくなる。
旦那は旦那で独眼竜にベタ惚れだから、多分旦那はそこにつけこまれたね。


…あ、今独眼竜がオレ様のこと見た。
レアだね、レア。

…え?何か口動いてる…?
何々?

ぼ…と…し…ん…ね…ぞ…ば…か…。

『ボーっとしてんじゃねえぞ、馬鹿野郎』!!?

何?オレ様今超頑張ってるんですけど!!

『オレ見てても何も出てこねえぞ』って…!
オレ様そんなにアンタのこと見てたんですか!!?

『オレに見惚れたとか言うんじゃねえぞ。っつか、アイツが可哀想だぜ』

いやいや、オレ様アンタに惚れるわけないから!!アンタと違ってホモじゃないから!!
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