□蒼い竜と紅い虎5
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「あ、政宗殿ー!!」

そこで、やっと真田の旦那が独眼竜に気づいたのか、独眼竜に向かって手をブンブン振った。

「おはようございまするー!!」

「Oh,Good Morning」

旦那とは違ってそんなにデカイ声出してないのに、よく響く声。

オレ様のときは口パクで示したのに、旦那にはちゃんと声を発する。
それがオレ様と旦那の違い。
…ま、オレ様嫌われてるから無理ないけどね。


「よおー、政宗」

そしたら、独眼竜に気づいたチカちゃんも手を振った。

「おう」

チカちゃんにも短いながら挨拶をする。
この2人が所謂ヤンキー中…バサラ東っていうとこなんだけど、そこで一番の悪だったんだって。
奥州の独眼竜と西海の鬼。
そうやって2人は恐れられてきたらしい。

ま、でもチカちゃんなんかは切れなかったらいい人っていうか、チカちゃんは滅多に切れないか。
独眼竜は切れっぽいけど。ま、血の気盛んだからね、奥州民は。

まあ、そんなもんで独眼竜はやっぱり呑気に煙草吸いながら高みの見物してる。
まあ、球技はできないんだからしょうがないけどね。
今日は3時間目にきたから…右目の旦那に起こされてきたわけじゃなさそうだな。

…ああ。
右目の旦那ってのは独眼竜の世話係みたいな人なんだけどね。
片倉小十郎って言うんですけど。
どうやらあの人のせいで独眼竜はこうなったみたいですね。
独眼竜とか、オレ様たちの前では結構温厚な人なんだけど、切れたらどこぞの組の人みたいに怖くなるって噂。
まあ、見た目からしてオールバックに頬に傷入ってたらその時点でもうどこぞの組の人みたいになってるよね。
この学園の所有する畑で働いてる。

その野菜がすんごい上手くてさ!
おまけに安いし、オレ様も結構買っちゃってるんだよ。
ホント、右目の旦那は何でもできるなぁ。うちの旦那も少しは見習ってもらいたいよ。

…あ、そんなこんなで体育終わっちゃった。
どうやら今日も旦那のチームが圧勝したらしい。さすが旦那。運動馬鹿なだけあるよ。

「気をつけー、礼ー」

「ありがとうございましたー」

皆けだるげに挨拶して教室に戻っていく。
でも、真田の旦那はテンション上がったみたいで、親に駆け寄る子供みたいに教室まで駆け足で行ってしまった。

「毎度毎度、幸村もこりねえなー。どんだけ政宗のこと好きなんだ」

「アンタも人のこと言えないでしょー。ナリちゃんあんだけ溺愛してる人もそうそういないからね」

「…!!っるせーな!」

チカちゃんはナリちゃんの話になるとヘタレになる。
…まあ、ヘタレだからしょうがないか。
もうちゅーはしたのかな。もう付き合って1年以上経ってんだからそろそろ発展しようよ。
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