□蒼い竜と紅い虎7
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そのころ、生徒会室。

「…あの、毛利殿」

「何だ」

「あの…元親殿。誰かに追われてませぬか…?」

「何?」

幸村が監視カメラの一つを指差した。
元就もそれを見た。

それを見た瞬間、元就の顔色が変わった。

「馬鹿をしおって…!」

元就はすぐさま置いてあった輪刀を手にし、窓から一気に飛び降りた。

「あっ、毛利殿!!」

幸村も、それを追うように窓から飛び降りた。

このとき、毛利元就は理解していなかった。
自分の存在が、長曾我部元親を危険にさらしめることを。


ヤバイヤバイヤバイ。
元親は必死に逃げながらそう思った。
コイツ、どうかしてる。

元親の背中は、冷や汗で濡れているだろう。
自分でもそう感じた。

だって、それほどまでに、今相手にしている男は危険だ。

そうこうしているうちに、やっと保健室に着いた。
元親は、無理矢理窓ガラスを割って保健室に入る。

「さ…西海の鬼っ!?貴様、ここが謙信様のっ…!」

すると、ずっと保健室に入り浸ってるかすがが、元親に向かってそう叫んだ。

「くのいちのねーちゃん!コイツ、しばらく匿っといてくれ!!」

元親はそう言って、無理矢理慶次を中に放った。

「うおっ!?」

突然のことに慶次は、しばらく保健室の床を転がった。

「も、元親!?」

「じゃ、頼んだぜ!」

元親はそう言うと、再び碇槍でそのまま爆走して行った。

「…何なんだ…?」

かすがは、まるで嵐が去っていったかのように行ってしまった元親を見て、そう呟いた。


「血…!血……!!」

慶次を保健室に置いていき、一人になった元親は今度は人目のつかないところを捜していた。
その後ろで政宗の姿をした化け物は、何か嬉しそうに呟いている。

どうしちまったんだ、政宗の野郎。

イカれたことは一度あるが、そのときはこんなに狂乱者じゃなかった。
どっちかというと、怒りを抑えきれずに暴走してしまった暴れ竜のような感じだ。

それが、今は何だ。
まるで頭のネジがどこか取れて壊れてしまったロボットのようだ。
いや、ロボットでもこんな物騒なことは言わない。
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