戦国×現代novel
□一輪の花7
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そこで政宗はふと、盗んだという武器を見た。
―――これ、俺んとこの…。
政宗はその武器に見覚えがあった。
それは、伊達軍が所有している武器であった。
―――最近どうも刀やらなくなると思ったら、こういうことだったのかよ…。
そしてそこで思わぬ邪魔が。
「いくら生活が苦しいとはいえ、他人の物を盗むなどゆる「わかった黙ってろ」」
政宗は半ば無理矢理幸村を黙らせると、はあ、とため息をついてからもう一度いつきに向き直った。
「事情はわかった。でもよ、すぐに一揆なんざ起こすってのはよくねえ。まずは穏便に話し合いでもしたらどうだ?
例えばあっちの伊達とか「あんなおさむらい一番でえっきらいだ!!」
政宗が解決法を述べていると、いつきが大きな声で遮った。
「あのあおいおさむらいなんか、一番でえっきれえだ!いっつも自分のことばっかりで、戦を遊びみてえに考えて、オラ達のことなんか何とも考えてくれねえ!
あのおさむらいは、自分が一番エライ人になることしか考えてねえだよ!!」
いつきは涙目で、そう語った。
「…そうか。そうだな」
政宗はしばらくして自嘲気味に笑って、呟いた。
「侍なんて、アンタら農民からしてみたら、糞みてえな奴らだよな…」
政宗は立ち上がって、いつきに言った。
「ならアンタの好きにすりゃあいい。Good Luck」
「へ…あ、ありがとだべ」
「行くぞ、真田」
「あ、は、はい!」
政宗は踵を返してズカズカと歩いていく。
幸村は、それについていくだけで精一杯だった。
「だ、伊達殿!」
「…なんだ」
「…本当に、あれでよろしいのでござるか?」
「よろしくはねえが、あれも可能性のうちに入ってたことだ。仕方ねえ」
「…しかし」
幸村の言葉を遮って、政宗は淡々と話し続けた。
「お前の世界がどんなんかなんて俺にはわかんねえけどな、こっちの世界は農民だけが苦しい思いしてるんだ。
民は飢えてどんどん死んでいくのに、俺達武士は農民から取り上げた年貢で生活して、それで生活が苦しくなってきたらまた増税していく。
農民は俺達武士のせいで苦しい生活を余儀なくされてるってわけだ。そりゃ一揆もしたくなるさ」
「……伊達殿」
「俺は、そんな侍になる気は一切ねえ。誰も飢えず、苦しまず、皆が笑って暮らせる世の中を作ろうって、誓ったのによ…」
自嘲気味に笑う政宗。
そんな政宗を見て、幸村は思わず口を開けた。
「なら、そのことをいつき殿に伝えられてはどうでござろう」
「…Ha?」
「きっといつき殿も、政宗殿の思いを理解してくださるはず!元は同じ人なのでござる!話せばわかりあえますぞ!」
「真田…」
熱心にそう励ます幸村を見て、政宗は自然と楽になっていくのを感じた。
「…そうだな」
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