戦国×現代novel

□一輪の花7
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それからあまり日も経っていないころ。


「筆頭!大変です!!」

「Ah?どうしたそんなに慌てて」

「最北端が……!!」

「……言ってみろ」

最北端という言葉に政宗も顔をこわばらせる。
しかし、それを何とか抑え、続きを促した。

「最北端の農民が、こちらに一揆を仕掛けてきやす!」

「…来たか。わかった、今すぐ軍議を開く。準備しろ」

「へい!」

兵士が慌てて去っていく。
それを見届けたあと、政宗は近くの壁にもたれながらずるずると座り込んだ。

「…きやがったか…」

「…伊達殿」

「Hey,真田。アンタもちんたらしてねえでとっとと戦の準備しやがれ。一揆起こす奴舐めてたら死ぬぜ」

「…しかし、伊達殿…」

「俺なら大丈夫だ。だから…」

「…あと少ししたら参る故…今はもう少しここにいては駄目でござろうか?」

「……An?」

「俺は、伊達殿を放っていくことなど、出来申さぬ」

幸村はそう言って笑うと、政宗に抱きついた。
何故そうしたのかは、あまり幸村にはわからなかった。でも、そうしたかったのかもしれない。


「…奥州は、この戦国の世をまとめて小さくしたみてえに、治安の悪い国なんだ」

「…はい」

「俺等伊達も、一応奥州では権力握ってる方だが、それでもこの奥州の小さい勢力に過ぎねえ」

政宗は、抱きしめている幸村の腕を拒否するでもなく、振りほどくでもなく、話し始めた。

「だから、一揆なんか頻繁に起こるのなんざわかってたんだけどよ、いざ起きちまうと、結構Shock受けるもんなんだな」

そう言って自嘲気味に笑う。
その笑みは、あのときいつき達を止められなかったときと、同じだった。

「…でも、こんな所でくよくよしたって始まらねえな」

しかし、そのときと違ったのは、その笑みと合わない言葉の強さだった。

「俺は止めてみせる。…侍として」

「伊達殿…」

「だからアンタは安心して俺についてこい。You See?」

そう言って、いつものように微笑む。

「…心得申した!」

幸村もまた、それに全力で答えた。







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