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 水の惑星、地球。
 青く輝くその惑星(ほし)は、資源の豊富さから天人達に目を付けられ、瞬く間に天人達の良いようにされてしまった。
 その天人達を廃そうとしたのが、侍。
 刀一本で立ち上がった彼らだったが、天人との力の差と、廃刀令や理不尽な処刑により、徐々に衰退。
 それでも諦めない侍は攘夷志士と呼ばれ、地球の江戸ではテロリスト扱い。
 犯罪者扱いされても諦めぬその魂は、太陽よりも輝いている。
 窓の外で起きている戦を見ながら、神夜はそう思った。


 ◆  ◆  ◆


 無事、地球に入った春雨の艦船は、例の盟約を結びに来た地球人、河上万斉の仲間が乗っている船に向かう。
 何でも、春雨が喜びそうな武器を乗せているのだとか。
 武器の名は『紅桜』


 ◆  ◆  ◆


「ベニザクラ?」

 前方が見える艦船の休憩室で、神威は阿伏兎に聞き返す。
 阿伏兎はダルそうな口調で「ああ」と返し、紅桜について説明した。

「紅桜は、名刀紅桜を雛型に作られた、対戦艦用機械兵器。『電魄』と呼ばれる人工知能を有し、使用者に寄生することでその身体をも操る。並外れたエネルギーで、戦艦一つ潰せるらしい」

「へー、そいつは凄いや。地球産にしては良い武器作るじゃないか。まっ、使用者が腑抜けた連中じゃあ、刀の力を全部引き出すのは難しいだろうけど」

「腑抜けた連中じゃあ、ものの数分で刀に体を乗っ取られるだろうよ。ぶっちゃけて言えば、俺達でも危険な刀だ。が、どうやら上の連中は、その刀が欲しいらしい」

 戦艦一つ潰せる武器。上が欲しがらないわけがない。
 早速、今回の盟約のどさくさで貰おうとする算段を企てた。
「上の考える事は分からないねー」と、阿伏兎はぼやく。
 そんな刀を手に入れた所で、春雨の威光は変わらないだろう。
 強くなり過ぎるというのも考えものだ。
 刀の暴走で商売出来る星を潰したら大損だ。

「その刀を、神夜達が取りに行ってるの?」

「まあな。表向きは陀絡潰した犯人の首取りだが、本当の目的は紅桜だよ」

「ふーん、成る程ね。あっ、その刀神夜に使わせたら、少しは強くなるんじゃない?」

「バカ言わんでくれ。そんな物騒な武器、誰が持たせるもんか。うちの子は、殺戮兵器じゃないんですー」

「はいはい」

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