book1
□花に例える
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ベッドで一つ伸びをして、上体をのんびりと起こした。
そしてまだ目覚めきらない頭で起きるべき理由を考える。
・・・アリスの家に行かないとな。
体の底からあくびをしたところで、魔理沙は身支度に仕掛かった。
がちゃりと家の鍵をかけ、魔理沙は空へ飛び立つ。
風を全身で感じながら、鼻歌を歌い、ほうきの操縦士は上機嫌そのものだった。
アリスの家で用意されているだろう紅茶とシフォンケーキの味に思いを馳せ、魔理沙はスピードを上げた。
「アーリースー。来てやったぜ!」
魔理沙の呼び声が聞こえ、アリスは急いで玄関へと向かった。
「遅かったじゃない。」
扉を開ければ魔理沙の姿が見え、アリスはその遅かった理由を理解した。
「寝起きね?」
「まーな。それはそうと、邪魔するぜ!」
「・・・待ちなさい。」
アリスの横をすり抜けていこうとした魔理沙をアリスは止めた。
「?何だよ、アリス。」
「みつあみが、きたない!」
そう言うと、いつにない強引さでアリスは魔理沙を鏡台まで引っ張って行き、その前に座らせた。
「全く、身だしなみくらいはしっかりして欲しいわ。」
「別にみつあみぐらいいいじゃないか。ケーキ・・・。」
「だーめ。ちょっとぐらい我慢して頂戴。」
ふくれっ面の魔理沙を鏡越しに見つめ、アリスは魔理沙のみつあみを解き始める。
「みつあみする気力があるのに、どうしてこうなっちゃうの?」
「私のは癖毛隠しのみつあみだからな。」
そう言った魔理沙のみつあみを解いた髪は大きくくるんと、外側にはねていた。
「なるほどね。」
アリスは魔理沙の髪を櫛で丁寧に梳かしながら、「一応」身なりを気にしてここまで来てくれたことを嬉しく思った。
「・・・何か、眠くなってくるな。」
アリスが優しく髪を梳いてくれるものだから、すっかり心地よくなって魔理沙は呟く。
瞼もまた下がり始めてしまいそうだ。
「ちょっと寝ないで頂戴!寝るとなかなか起きないんだから!」
以前、家のソファーに横になって眠ってしまった魔理沙を起こそうとしても全然起きなくて苦労したアリスは焦りながら言った。
「ほら、ケーキ食べに来たんでしょ!」
「・・・そうだ、早く食わせてくれよ。」
「もう終わるから。」
仕上げにリボンを結び、花瓶から一輪の花を取り出す。
「これはおまけ。」
そう言うとアリスは魔理沙のみつあみに花を加えた。
魔理沙は花なんて柄じゃない、と思ったものの、ここでまたアリスのお説教が始まると面倒だったのでそのままにしておいた。
「よし、じゃあケーキ食おうぜ!」
「はいはい。」