book1

□離れられない熱
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ぱさりと、レミリアの服が落ちる。
すると、咲夜は新たなレミリアの体の異変に気付いた。
背中や首元、体のあらゆる場所に赤い発疹が現れていたのだ。
これはやはり何かの病だと確信し、心臓が嫌な音を鳴らす。
しかしメイド長として、咲夜は何事もない様にひとまずそれを衣服で覆い、彼女が着ていた物を片付けに部屋を後にした。
そして洗濯する女中に衣服を手渡した後に向かうは、この館にある図書館である。
今にも駆け出して行きたい気持ちを抑えながら、咲夜はパチュリーの元へと歩みを進めた。

「パチュリー様。」
「あら、どうしたの咲夜。」
「パチュリー様にお尋ねしたいことがあって、こちらに伺いました。」
「なぁに?言ってごらんなさい。」

咲夜がパチュリーに聞きたいことはただ一つ、レミリアの症状についてだ。
未だに嫌な音を鳴らす心音に負けないように、ゆっくりと咲夜は話し出した。

「んん・・・。」

咲夜の話を聞いた後、パチュリーは記憶の糸を手繰り寄せていた。
その間は咲夜の不安と期待を交互にもたらした。
そして、辿り着いた答えを咲夜に告げる。

「それは猩紅熱(しょうこうねつ)かもしれないわ。」
「猩紅熱、ですか。」
「お薬を飲んで、安静にしていればすぐに治る病気よ。だから、咲夜。そんなに怖い顔しなくても平気よ。」

くすりとパチュリーに笑われ、咲夜は自分の表情が強ばっていたことに気付いた。

「戻ったらレミィの舌を御覧なさい。苺みたいに赤く腫れてたら、間違いないから。」
「・・・ありがとうございます。パチュリー様。」

咲夜は嬉しそうに、パチュリーに言った。
多分その笑顔に本人は気付いてないだろう。
そしてパチュリーは補足を一言付け加え、咲夜を見送った。
静かになった図書館でパチュリーはぼんやりと思う。

レミィが猩紅熱ねぇ・・・。人間の子供の病気じゃない。咲夜も慌て過ぎね。

パチュリーは口元に微笑を携えて、読みかけの本の続きを読み始めた。


→レミ咲・・・P3
→咲レミ・・・P4〜P5
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