短編
□太鼓魂
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今日いつも平和?な並盛中学校。
季節は夏なのに時期外れの梅雨で天気は雨。
時間は5時間目終了後の休み時間。
「な〜ツナ!今日雨で部活休みなんだよな!帰りゲーセンでも行こうぜ?」
「オイ野球馬鹿!何十代目に馴れ馴れしく誘ってんだ!!」
「まあまあ、獄寺君!」
山本が俺の肩を組みながら誘ってきた。
なっ!と誘ってくる山本がニカッと笑えば獄寺君がダイナマイトを取り出し睨みつける。
(いつも獄寺君は何で気がそんなに荒いんだろ?)
と呑気に考えていたら、今にも火をつけだしそうだったので獄寺君を宥めた。
「そうだね…あ!俺太鼓の達人やりたい!」
最近山本が部活で忙しく、放課後は獄寺君と一緒に太鼓の達人で遊ぶのが日課になっていた。
もちろん俺はダメダメっぷりを発揮するのだが、獄寺君はピアノを弾けるためリズム感は相当あるのだ。
「太鼓の達人?俺やった事ねぇな。アレおもしれぇの?」
「うん!すッごく面白いよ!でも、獄寺君リズム感あるのに何故かバラバラなんだよね」
だから俺いつも勝ってるんだ、っと苦笑いで獄寺を見た。
「そ…それは十代目が…その、」
かあぁぁっと顔を赤くさせた。
(一生懸命太鼓を叩く十代目のお姿が、か…可愛いくて、見惚れてただなんて、ぜってぇ言えねえ…!)
「どうしたの?獄寺君。」
「い、いえ!なんでもないッス!」
「ん〜よくわかんねぇけど、面白そうだな!じゃあ放課後ゲーセンで決まりだな!」
「うん、山本も絶対ハマるよ♪山本何でも出来るから、俺なんだかやる気出てきた!」
「おぅ!楽しみだなっ」
チャイムが鳴り響き、6時間目の授業が始まった。
教科は国語だったが、今日は漢字プリントだった為、当てられることなく悠々と過ごした。
でも楽しみにしている放課後には中々なってくれなくて、何度時計を見ても針は数ミリしか動いてくれなかった。
みんな真面目にプリントをしている中、顔を上げて獄寺君と山本を見れば、二人ともプリントなんて見てなくて、なにやら考え事をしているようだった。
(あぁ、またあの愛らしい姿を見ることが出来る…!今日は野球馬鹿も一緒だから、アイツと対戦している時にじっくり眺められる!)
(あの獄寺の表情からすれば、太鼓叩くツナが一生懸命で可愛いとかか?クッソー俺も早く見てぇ〜)
なんて事を二人が考えているなどと、俺は思ってもいなかった。
ただ何故か寒気がし、鳥肌が立っていた。
(…超直感?いや、風邪かな…?)
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