長編側にいたい

□Two Hearts
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綱吉はすぐに病院へと運ばれ、手当をしてもらった。
診断によると脳の一部の細胞が消滅しているとのことだったが、それは二三日すれば復活するらしい。
とりあえずしばらく安静にしてれば大丈夫と、医者は言った。
病院の白いベットに眠る青白い彼。
口元には酸素マスクを付けられ、腕には小さな針が刺さり薬品がぽつぽつと彼の体の中へ入っていく。
特に外傷はない為、頬に付けられた一筋の傷が目立つ。
暫くベットの脇で彼が目を覚ます瞬間を待っていたが、いざ此方を見たときに、どんな反応をするのか怖くて部屋を出た。

「お疲れだったな。」

部屋を出ると彼の家庭教師であるリボーンの声を掛けられた。
黒く丸い瞳は怒っているようにも悲しんでいるようにも無表情にも見える。
彼の心は読めない。

「あの少年は、どうなったの」

ずっと気になっていたこと。
あの後少年は復讐者と呼ばれる者に連れ去られ、どこかに消えてしまったのだ。
怯えた表情は今でも鮮明に覚えている。
そんなに怖い存在なのか、裏世界を知らないので何も分からない。

「どうやらあの少年はマフィアの掟を破っていたらしい。」

「掟?」

あの炎を吸い、他の属性の炎も扱える力はマフィアの掟を破るものらしい。
禁止されているルートを使って炎を操り、そして利用していた。
研究段階で発見したのはフォルケッタファミリーだったが、あまりに危険だった為使用してはならないと、決められたらしい。
それは初代の話だ。
そしてあの少年の代になった時に再び発見し、使用したのだとリボーンは言った。

「じゃあもう、追ってくることはないの?」

彼は何も言わなかった。
きっと彼にも分からないのであろう。
今の所牢獄にいるという情報は入っているが、法でどう裁かれるか分からないので、いつ出てくるか出てこないのかさえ不明。
もしかしたら脱走してまた綱吉を奪いに来るかもしれない。
少年は綱吉を欲していた。
恋愛感情も勿論あったように思えたが、それ以外にも大空属性の炎も欲していた。
状況は何も変わっていないように思えた。

「ヒバリ、お前が必要だ。」

黒く丸い目が僕を射抜く。
これからいつ襲われるか分からない。
ボンゴレボス十代目としても少年以外にも狙われることも多くなるだろう。
彼はボスになることを尽(ことごと)く拒んでいるようだが、それは時間の問題になるらしい。

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