長編側にいたい

□爪までも愛しい
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「だから?」

別に破られたって問題じゃないように思え、雲雀は疑問を浮かべた。

「同盟の更新が切れたとかそんな簡単な問題じゃねぇんだ。」

「気長な方じゃないんだ。用件を早く言ってよ。」

言いたいことが遠まわしで説明文のようなので、全く伝わらない。
麻酔弾と言っていたが銃で撃たれたことは確かな彼が心配で、早く用件を済ませたかった。
気がみじけぇ奴だとリボーンは呟き、帽子をぐいっと上にあげた。

「この写真の少年はフォルケッタファミリーの新しいボスなんだ。」

「新しい…?」

彼の話によれば、先日フォルケッタファミリーの九代目が亡くなったそうだ。
ボンゴレと同じくらいフォルケッタは古い歴史があり、今までずっと同盟を組んで一緒に今の現在まで歩んできたのだ。
新しいボスに選ばれたのは綱吉と同じように、フォルケッタの血が繋がっているあの少年が選ばれたという。
他にも候補は沢山いたのだが、その中でも断トツの強さと影を持っていて、彼を支持する者は多かった。
絶対的だったとも、言われていた。
そしてボスに就任した彼は守護者や幹部、部下達にボンゴレファミリーとの同盟を破棄する、と宣言したそうだ。

「どうして?」

内容的にはどちらとっても不利な条件ではないはず。
それを証拠に今まで九代とこの同盟が続いてきているのだから。
話によれば二つのファミリーは敵対することなく、親交も深くとても穏やかだったそうだ。
それを破棄すると言った真意が見当たらない。

「目的は…ツナなんだ。」

あの少年は引き継ぎの書類を整理している時に、たまたまボンゴレとの同盟内容の用紙を見つけたのだ。
雲雀と同様、至って普通の内容だな、としか少年も思わなかった。
だが、その用紙の間に挟まっていた綱吉の写真がハラリと床へ落ちた。
わざわざ屈んでまで取るのは面倒だったが、今は書類整理をしている真っ最中。
仕方がないと拾ってそのついでに写真の映っているものも見たのだ。

「…それから、いきなり変わったそうだ。」

写真に写っていたのは紛れもなく綱吉だった。
ダメダメででも素直で可愛らしい、その姿を見た瞬間、性別など関係なく少年は綱吉に惚れてしまったのだという。

「その情報、確かなの?」

「ああ。初代からファミリーと同じように使用人達も跡を継いでる。その古い使用人が聞いたと言ってんだから間違いねぇゾ。」

写真を見た瞬間、書類整理など放ったらかしにして、守護者や部下達を集めたそうだ。
そしてそこで高らかと宣言したらしい。

「この沢田綱吉を、俺のモノにするから。」

と。

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