短編2

□星になって見守るから
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「うわああーー!!」

あまりぐっすり眠れず、夢と現実を行き来しながら眠っていたせいなのか、綱吉の前には恋人である雲雀がいたのだ。
ベットの脇に座り、こちらをただじっと見つめている。
何もこんなに驚くことはない。
昔から雲雀は突然現れたり居なくなったりしたからだ。
だけど、今回ばかりは驚かない訳がなかった。

「…ど、どうして…?」

つい先日、雲雀は交通事故で亡くなったばかりなのだ。
子供が轢かれそうになっていたのを庇い、大型トラックに跳ねられた。
即死、だったらしい。
体はボロボロだった為、亡骸を見ることなく逝ってしまったけれど。

「綱吉…」

雲雀は綱吉にどうしても会いたかった。
最後に一言、何を伝えたいって訳じゃないけれど、何も言わずに逝ってしまいたくなかった。
だからまだここに残っているというのに…

「うう…っ、ぎゃあああー!」

手を伸ばし優しい声で綱吉を呼ぶ雲雀だが、綱吉は顔を青くし涙を流しながら拒否をした。
部屋の隅へと行き、頭を抱えてぷるぷると震えているではないか。
チラリ、チラリとこっちを見、そしてううっ…と涙を浮かべる。
恋人がまだ天国へ逝かず、目の前に現れているというのに。
普通は喜んで涙を流すものじゃないのか。

「…何なの。」

「だって、…お化けっ怖い…っ」

昔から綱吉はお化けが大嫌いだった。
ホラー映画も肝試しもお化け屋敷も、普通に暗いだけでも怯えるような可愛い子。
それは理解していたが、ここまで怯えられるとは思っていなかった雲雀は大きなダメージを受けた。
折角…折角会いに来たというのに!

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