短編2

□星になって見守るから
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翌日、雲雀が亡くなってすぐということもあり、皆綱吉は学校を休むと皆思っていたのに、普通に登校してきたのだ。
挨拶を交わす人皆が大丈夫か、と口には出さないが表情に出ている。
それに答えるように綱吉は大丈夫と笑って挨拶を交わす。
見ている雲雀からすると悲しいものだった。
自分が死んで綱吉はきっと泣き崩れて、ご飯も食べれなくて、どんどん痩せてやつれていくんだと、そう思っていたから。

体は透けている。
壁もすり抜けれるし、物に触ることも出来ない。
本当に死んでしまったんだと分かった瞬間、一番に綱吉に一目会いたいと自分は思ったのに…綱吉はそうではなかったのだろうか。
お化けでもいいから会いたいと、そうは思わなかったのだろうか。

「綱吉…」

授業中、透けている体を生かし机の下から頭だけをニョキっと出して登場してみる。
そう、生首だ。
黒板に顔を向けて先生の言葉を聞いた後、ノートに書きこもうとする綱吉と目が合った。

「……ぎ、ぎゃああああーーーー!!」

教室…いや学校全体に聞こえるような大きな悲鳴を上げながら綱吉は教室を飛び出てしまった。
周りの生徒はどうしたんだとざわざわしている。
お仕置きのつもりで驚かしたのだが、ショックを受けたのは雲雀自身の方になってしまった。
生徒達が隣の席の子達と話している騒がしい教室内の中、一人の少年が雲雀の方を見つめていた。
山本武だ。

「…見えるの?」

「おう!」

いつもの山本のスマイルに雲雀は少し安心をした。
お化けになってから誰も自分を見える人など居なくて。
だからこそ綱吉に見えてもらって嬉しかったのだ。

「どうしたーヒバリ。お前死んだんじゃなかったのかよ?」

いつものスマイルに見えたのだが、若干苦笑のような非笑のような顔をしている。
悲しんで…いてくれたのだろうか。
それはそれでありがたい。が、綱吉が悲しんでいてくれていたのかが一番気になる所だ。

「ねぇ。僕の葬式の時、綱吉はどんな顔してたの。」

どんな表情で綱吉は見送っていたのか。
ぐちゃぐちゃに泣いてて、周りの奴らが慰めていたと、そう思っていたのに。

「それがな…ツナ、全然泣かなかったんだよ。むしろその逆で凛とした表情でさ。…なんかカッコよかったぜ。」

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