短編2

□真夜中のサンタさん
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「で、こんな夜中になんの御用で?」

今日は金曜日、明日は土曜日。
クリスマスということもあり特に予定はないのだけれど、休みの日は寝るという大事な予定が入っているのだ。
休みの前日は夜更かしをして少しゲームで遊んで寝るから、今の時間正直眠くて仕方が無い。
まあ、二人が開けた窓から冷気が差し込み、体を冷やしたから少し冷めたが。

「何の御用って…この格好を見て気付きませんか?」
触れたくはなかった。
入ってきたときからずっと疑問だったし、聞きたくて仕方なかったけど、聞いても長くなるだけと思い、質問をしなかったのだ。
でもそうはいかないようで。
二人はどうだ、と誇らしげな表情でこちらを見て来た。

「と、とっても似合っていると思いま、す。」

骸の頭には三角のサンタ帽、そしてサンタのジャケットにサンタのズボン。
雲雀さんも同様な格好だが、全てに染まるのは嫌なのか、学ランのようにジャケットは肩にかけているだけだ。
もちろんインナーは並中の制服だ。
所謂二人はコスプレをしてこの家に堂々と忍びこんだのだ。

「僕はみんなに夢を与えられるようなサンタでしょう!」

「悪夢の間違いじゃないの?君全然似合ってないよ。僕の方が断然似合ってる。」

「君の場合サンタじゃなく、サタンでは?そういう意味ではよくお似合いですよ。」

放っておくとまた喧嘩が始まるのでとりあえず止めておく。
もう二人は止めて欲しくて喧嘩をしているのじゃないかと思ってしまう。
サンタの格好をした二人は…正直どちらも似合ってないように思える。
やっぱりサンタさんのイメージは小太りで白ひげ白髪のおじいさんだから、スラッとしたイケメン二人には合っていないような。
でも、そんなことは口が裂けても言えないのだ。

「僕は綱吉君の為にプレゼントをお持ちしました。それは僕自身…」

「いらない」

即答で応えると骸はクフンクフンと泣き始めていたが放置しよう。
僕自身ってどういう意味だ!
…恐ろしいから聞かないでおこう。

「下らないね。僕はね、綱吉に愛をプレ…」

「ほんとやめてくださいキャラが壊れるからああ!!」

雲雀さんの口からそんな言葉を聞くと、自分の中の何かが壊れてしまう気がして、骸同様言葉を遮った。
っというか下らないって言いながら言ってること同じようなもんなんだけどね!
一体二人は何をしに来たのだろう。
コスプレをして、喧嘩をして、愛の告白までして。

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