短編2
□真夜中のサンタさん
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「もう、用件は済みました?」
また言い争い始めた二人を見ながらボソリと問いかけると、二人はピタリと動きを止め、此方を見た。
「帰りませんから」
「帰らないから。」
「ええええ!?」
帰らないって今日は泊まるということだろうか…?
クリスマスイブの夜に何が楽しくて男三人で過ごさなければいけないんだ。
それにこの二人と一緒に一夜を共にすると俺の貞操が危うい気がする。
どうしたらいいんだろう、どうやったら帰ってくるだろう。
頭を悩ませていると二人がまた言い争い始めた。
「君、大好きな風紀とやらの仕事を部下に任せたそうじゃないですか。この日の為に。」
「うるさいよ。君だっていつも群れてる仲間のクリスマス会を抜け出してまで来てるじゃない。」
雲雀さんは大好きな風紀の仕事は部下にはさせず、全て自分でこなしていた。
なのに今日の為に部下に任せたのだと、骸は言った。
骸もクローム達がクリスマス会を開いてくれたのに、それを断ってまでここに来たんだと言った。
俺に会いに来る為に予定をキャンセルしてくれたのだ。
そんなの頼んでないのに、すごく迷惑だ。
草壁さんやクローム達にも申し訳ない。
でも、でも。予定を断ってまで来てくれたことが凄く嬉しかった。
こんな変態二人でも、好意を持ってくれていることも。
「分かりました。今日は泊まっていいから、明日みんなで母さんが作るチキンとケーキ、一緒に食べよう?」
そういうと二人は目をキラキラ輝かせたが勿論布団は別だ。
手を出したら、次からクリスマスが恐怖の日になるから、と笑顔で言うと二人は無言で各自の布団へ潜り込んで行った。
朝起きたら草壁さんやクローム達に連絡して、うちでクリスマスパーティーをしよう。
もちろん獄寺君達も呼んでみんなで。
きっと骸と雲雀さんは凄く嫌がるだろうけど…みんなでお祝いしたいから。
「骸、ヒバリさん、」
「「ん?」」
「メリークリスマス。」
「「…メリークリスマス。」」
照れくさそうに言うと、同じように照れくさそうに返ってきたから、なんだかこそばかった。
そんな今年のクリスマス。
END
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