短編2
□ひしょつな!
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そんな…馬鹿な。
小柄で琥珀色の瞳、そしてふわふわの髪をした店員は明らかに男なのだ。
なんなんだ、このドキドキとする胸の高まりは。
雲雀はその感情がよく分からず、気付かぬ振りをして栄養ドリンクとおにぎりのおかかを持ち、レジへと並んだ。
レジは二つ稼働していたが、雲雀は迷わずその少年の方へ向かった。
「いらっしゃいませ。」
栄養ドリンクとおにぎりをピッとレジに通していく。
胸元には沢田綱吉というネームを付けており、そこで雲雀は初めて少年の名前を知った。
小柄で可愛い男であるのに、名前はなんだか堅苦しいような男気溢れるものだ。
「お会計315円です。」
小銭を丁度出し、彼に手渡した。
渡す時、微かに触れた指先がじんじんと痺れるように疼く。
何故だ、何故だ何故だ。
今まで伏せていた顔を上げて見ると、目の前には彼の大きく吸いこまれそうな瞳があった。
「…あの?」
彼は困った表情をして袋を渡そうとしていた。
チラチラと後ろを見るもんだから、振り返ってみると先ほどよりも長い列を連なっていた。
早く買った商品を持って帰ってくれ。
そう言われている気がしてなんだか寂しくなった自分。
普通だったらそんな態度をした人物を痛めつけるというのに、何故、こんな感情になるのだろう。
それが知りたくて、あれから毎日通うようになった。
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