短編
□変化
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外灯もない神社は少し不気味だった。
「ご、獄寺君。ちょっと、怖いかも」
「大丈夫ッスよ!コレがあるんで」
彼はポケットから何か取り出したようだが、暗くてよく見えなかった。
「…見えないよ?獄寺君」
「あぁ、そうですよね!じゃあつけますね。」
つけるって何をと思っていると、目の前にパチパチと火花が散った。
それは小さく綺麗な線香花火だった。
「う、わぁ〜!綺麗、綺麗!」
「ふふ、喜んでもらえてよかったです。」
火を纏った線香花火は落ちることなく、最後まで火を灯し続けた。
「これからはもっと本音、言ってください。」
「うん。」
「俺は十代目が大好きなんです。もっと、もっと知りたい。」
「うん。」
「ずっと一緒に居たい。」
「う…んっ」
最後は涙で喉がつっかかって声が震えた。
それでも獄寺君は理解してくれて、終わったばかりの線香花火を片手に握ったまま、俺を抱きしめてくれた。
獄寺君、俺も一緒に居たい。
変わったのは彼で
変わったのは俺で
お互いに変化したのだった。
こんな変化ならありじゃないかな?
この先もずっと変わらないままもいいけど、お互いに成長して分かち合って、進んでく。
そんなのも、いいんじゃない?
END
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