短編
□夏の暑さ
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ミーンミーンミーン
八月というのは、学生にとっては夏休みという大きなイベントの時期で、気分はウハウハなはずなのに、今年は…いや毎年かな?
物凄い猛暑だ。
母さんは電気代が勿体無いからっとクーラーを付けてくれないのだから溜まったもんじゃない。
昨日見た天気予報で、今日の最高気温は36度だと言っていたから、室内は湿度も上がって、もっと暑いのだろうと、肌で実感出来る。
「あっつ〜…」
母さんとチビ達はデカイデパートで今頃涼んでいるのだろう。
暑さに耐えれないのか、いつもは着いていかないリボーンまでもが、一緒に買い物に行っている。
「俺も行きたかったけど」
この前商店街にみんなで行ったみたいに連れまわされたら、これまた溜まったもんじゃない。
ミーンミーンミーン
蝉の命は一週間なんだから、鳴かせてあげたいという気持ちはある。
だけど、これだけ五月蝿く鳴られたら、暑さでイライラしている気持ちは募るばかりだった。
「あーもう五月蝿い!鳴くのはいいけど、もうちょっと小さく鳴いてくれよ〜…」
誰も居ない部屋で響くのは、俺の声と蝉の声だけだった。
叫んだことにより、より一層体の温度が上がった気がした。
「よぉ、ツナ!」
もう寝ようかと、枕に顔を伏せた瞬間、ドアの方から聞きなれた声が聞こえた。
「や、山本!どうしたの?」
いや、まずピンポン鳴ってないし、俺招きいれた覚えないけどな。
なんて思いながらも、満面の笑みを浮かべる山本に、ツッコミを入れれなかった。
「暇だったから来たんだけどよ…この部屋暑くねぇ?」
「ご、ごめんね。母さんが電気代節約だーって。」
「ははっ、ツナの母さんってしっかりしてんのな。」
山本はドアに立ったままで、一向に座る気配が無かった。
見かねた俺は思わず声を掛けた。
「…山本座らないの?」
「ん〜なぁツナ、俺この部屋耐えらんねぇわ」
苦笑いを浮かべる山本の額には汗が纏っていた。
なにもしていない俺でさえ、こんなにも汗をかいているのだ。
スポーツをしている彼は代謝いいのだろう。
「じゃ、じゃあどっかいく?」
「なら俺んち来いよ!クーラー効いてて涼しいぜ?」
「わぁ本当!?行く行く!」
汗をかいている服を着替えて、早速山本の家にお邪魔することになった。
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